この記事ではそんな疑問に明快に答えます。
レバナスの長期投資・長期保有は有効と考えるには根拠があります。
一部の情報に惑わされず、正しい知識と情報に基づいて資産形成を進めましょう。
長期投資を考える時に短期投資の目線で考えてはいけない、と言うのが重要なポイントです。
- 投資家・個人事業主・医学博士
- 投資歴15年 (学生時代から)
- レバナス/USA360/3倍ETFをメインに積立中
- 地銀→野村證券→ネット証券
- FIRE済み:好きで働いてます
本題は【3|レバナス長期保有のリスク】からですので、基本は不要と言う方は目次をクリックして飛ばしてください。
レバナスのおさらい
2021年11月、楽天投信投資顧問より投資信託『楽天レバレッジNASDAQ-100』(通称:レバナス)が登場し、話題となりました。
2022年7月にはさらに低いコストを謳ったauレバナスも登場しました。
話題となった背景は、2018年に先行して大和アセットマネージメント社から発売されていた投資信託『iFreeレバレッジNASDAQ100』(一部投資家から“レバナス”の愛称で呼ばれてきた)にそっくりだったから、というのが大きいでしょう。
投資に疎い日本人向けの商品でありながら、2倍のレバレッジの掛かった商品ということもあり、多くの投資初心者にとってはその情報を聞きかじっただけだと期待半分・不安半分という感じかもしれません。
そこでこの記事では、レバナス(面倒なので特に断らない限りどちらの商品ともこの通称で呼びます)を使って投資する場合の、特に長期的な視点に立った解説をします。
これを読めば、レバナスを自身のポートフォリオに入れるかどうか、自分で決めることが出来るようになると思います。
効率的に資産形成を行うことが出来れば、それでけFIREも近付きます!
レバナスについては、大和レバナス、楽天レバナス、auレバナスともそれぞれのHPをご覧頂くのが間違い無いです。
しかし数字が並んでいてよく分からないという方は、まずそもそもレバナスがどんなものなのかをまとめた記事に目を通しておくとより理解が深まると思います。
様々な内容の記事を目にすると思いますが、何を信じれば良いのか、自分で判断できるようにならなければなりません。
投資を始める、レバナスを買う、と言う以前の問題ですので、偏った情報(特に利益相反がある場合=アフィリエイト目的や再生数稼ぎのための煽り動画など)には気を付けましょう。
大和レバナス/楽天レバナス:長期ならどっち?
冒頭で紹介したこの2種類、厳密には異なります。
どちらもベンチマークとするインデックスはNASDAQ100で同じですし、レバレッジも日々2倍で一緒です。
ただし信託報酬が異なり、後発品である楽天レバナスの方が低く抑えられています(大和=0.99%、楽天=0.77%)。
これからレバナスへの投資を始めるという方の場合は、信託報酬の低い楽天レバナスが良いかもしれません。
ただし設定直後は総資産額が小さいため安定した運用が出来ない可能性もあります。
楽天レバナスは発売開始後1週間足らずで総資産額は100億円を突破と好調のようですが、様子見しつつ大和レバナスを購入することでも良いかもしれません。
両者の違いについては大和レバナスと楽天レバナスの違いを説明した記事で詳しく取り上げていますので、興味がある方はご覧下さい。
レバナス長期保有のリスク
ここからがいよいよ本題です。
リスクの捉え方
一通り基礎知識を身に付けたら、次はそのリスクについても知っておかなければなりません。
NASDAQ100が好調な時はレバナスの長期保有に不安を抱く方も少ないでしょう。
心配なのは、
- 長期的に見てNASDAQ100が上がり続けてくれるのか?
- 逓減リスクによるリターン減少は心配ないのか?
- 暴落をくらった後に立ち直れるのか?
ということではないでしょうか。
レバレッジと聞くと即リスクに結びつけてしまいがちですが、必ずしも危険ばかりとは限りません。それどころか、あなたがイメージしているようなリスクはとても小さなものかもしれません。
原則として、長期に渡る投資を行えるのであればリスクは十分に許容範囲内と考えられます。
何故なら、NASDAQ100が長期的には右肩上がりになることが極めて高い確率で想定されるからです。
その根拠は、人間社会の発展にこそあります。
NASDAQ100が上がり過ぎなのか、今後も上がるのかを考える時、一般的に指標とされるPERなどを参考にすることを否定はしませんが、もっと長い目で見たときにはさらに重要なことがあります。
普段見ているチャートも少し見方を変えるだけでその意味が分かると思いますので、ぜひ実感してみて下さい。不安が一気に減ると思います。
その上で、レバナスのリスクの種類や程度の詳細については、別途レバナスのリスクを徹底分析した記事にまとめていますので参考にして下さい。最終的にリスクを許容出来るかどうかはご自身での判断になります。
リスクのシミュレーション
リスクを正しく捉えた上で、ただそれでも不安になる気持ちはよく分かります。
そこで、実際にどれだけのダメージを受け得るのか、考えてみましょう。
長期保有、長期投資における最大のリスクは暴落がいつ来るのか、これに尽きます。
従って、考えるべきは
一括で購入するか積み立てていく(時間を分散する)か
になるでしょう。
一括で購入するリスクについては以下の記事を参考にして頂ければと思いますが、ここで強調しておきたいことは『あなたがあと何年投資するつもりか?』が大切だということです。
長期という言葉の意味の受け取り方は人それぞれで、10年と考える人もいれば30年と考える人もいます。
正直なところ、10年ではまだリスクが大きいと考えられます。
なぜなら、IDバブルの崩壊後にNASDAQ100がその高値を更新するまでに17年近くを要したことがあるからです。
もちろん積立をしていればもっと早く資産は戻って上昇に転じますが、投資開始後10年目にITバブル崩壊が来た場合などを想定すると少なくとも15年以上のスパンで見ておきたいところです。
レバナスの積立と一括については以下にまとめました。
もっと最悪のケースを考えると、例えば30年も積み立てていよいよ取り崩しというタイミングでリーマンショック並みの暴落が襲ってきたらどうでしょうか。
想像もしたく無いかもしれませんが、その時点でおよそ82%超の資産の目減りがやってきます(レバレッジ2倍のQLDの実績)。
この時はNASDAQは3年でリーマンショック前の水準に戻しましたが、その間は大きく目減りした資産の取り崩しでしのがなければなりません。
ただポジティブな側面もあり、例えばリーマンショック時のNASDAQ底値はITバブル崩壊時の底値よりも30%ほど高い水準でした。
つまり、長期投資している場合、数十年後に襲ってくる暴落が投資初期の頃の水準を下回る可能性はとても低いと考えられるのです。
どんなに銀行が破綻して、どんなにバブルが崩壊して、どれだけ世界が荒廃しても文明レベルは原始時代に戻ることはありません。
そうです、数十年に渡る長期投資の終着点は、取り崩し開始時点で襲ってくる暴落にも耐えられるようになること、これを目指すことだと言えます。
最近だとサーキットブレーカー連発で世界恐慌かと思われるパニック売りを引き起こしていたコロナショックの底値は、株価上昇を続けていた2017年末と比べても更に高値なのです。
そのためには、全資産をレバレッジ商品に投入することは絶対に避けるべきと考えます。
それは往々にして損する行動を取る人が多過ぎるからです。
それが許されるのは、十分に生活出来るだけの不労所得が確約されている人だけです。
レバナスを使わない選択肢のリスク
最後に、少し趣向を変えたリスクを見てみましょう。
どうしてもレバナスは怖い、レバレッジ投資はしたくない、という保守的な考え方もあるでしょう。
しかし、全くレバレッジ投資を行わない場合には、レバレッジ投資を行った場合に比べてリターンが大幅に少なくなることを覚悟しなければなりません。
この意味は、
- 『レバナス仕込んでおけば良かった。。。』
- 『遅れを取り戻すために今から一気に勝負に出よう』
- 『2倍ではなく3倍レバレッジ商品に全力投球だ!』
などという心理的な暴走を止められる精神力が必要になる、ということです。
人の欲は大変に恐ろしく、それを制御出来ない人がしばしばギャンブルに手を出しては破産します。
投資は投機やギャンブルとは異なります、自分でポートフォリオを調節できるものです。
怖いけど興味がある商品なら、少しだけ持っておくという選択肢も取れるのです。
精神衛生上、より値動きの安定した債券などと組み合わせるのも良いかもしれません。
そうしたポートフォリオを組むためにも、投資信託の中身についてはある程度知っておいた方が良いと思います。
債券との組み合わせの場合を例にとって分かり易く解説した記事がありますので、良ければ参考にしてみて下さい。
なおこれはレバナスに限った話ではなく、上がった時のリターンの大きいレバレッジ商品全般に言えることです。
中身を正しく知り、何への投資なら納得出来るのか、最低限は理解しておく方が良いと思います。
代表的な3倍レバレッジETFに関する説明記事がありますので参考まで。
出口戦略を考える
長期投資を行う際に常に考えておかなければならないのが、出口戦略です。
つまり、積み立てていった最後にいつ売れば良いのか、という疑問は払拭しておかなければなりません。
ここも人によって考え方が異なるところですが、一つの答えとしてFIRE(Financial Independence, Retire Early)があります。
積み立てて形成した資産を、一定のペースで取り崩していくことで、資金の枯渇を防ぎ、収入がなくても生活していく事が出来る状態です。
心配するのは老後の生活のことだと思います。そのためにはまず、そもそも老後にいくらかかるのかを把握しておかなければなりません。
老後2000万円問題というワードを知っているだけでは何の役にも立ちませんので、正しい知識を補強しておきましょう。
必要な金額をイメージした上で、どの程度の投資をしておけば毎月いくら取り崩しが可能なのかを考えましょう。この取り崩しについては経済学者が過去の実績に基づいて緻密なシミュレーションを行って論文にまでしている有名な研究があります。
ご存知の方も多いと思いますが、このトリニティスタディは大変参考になります。歴史的な大きな暴落を何度も経験した期間を用いて計算されていますので、老後の取り崩し期間にも同様の試練があると仮定して考えてみましょう。
次に、レバナスを使ってFIREすることを考えてみましょう。
レバレッジの掛かっていない商品と比べて、コロナショックを挟んだ過去の実績を基にシミュレーションしてみると、具体的にイメージできると思います。
大和レバナスが設定されてからの3年間を基に、それよりも低い運用成績を想定して試算した結果を以下の記事にまとめています。
何年積み立てれば、毎月いくらずつ取り崩せるのか、レバナスバージョンを見てみて下さい。
レバナス設定以来の3年間の実績が続く場合と、その3分の1、6分の1といった利回りが続く場合に毎月取り崩すことの出来る金額を整理しています。
終わりに:なぜレバナスなのか
レバナスに着目して解説してきましたが、なぜレバナスが市場から注目されるのでしょうか。
レバレッジが掛かった投資信託やETFは他にも存在しています。
その理由は、NASDAQ100と2倍というのがポイントです。上で紹介した記事でも触れていますが、成長性と逓減リスクのバランスを取る事が出来ている優れた投資信託である点が評価されているのだと思います。
取り敢えずレバナスを初めてみる、と決めた方には無用かもしれませんが、レバレッジ投資信託同士を比較検証した記事がありますので参考までに。
レバナスは初心者にこそ使ってもらいたい理由
レバナスはレバレッジ商品なので敬遠されがちですが、長期に保有するのであればNASDAQ100は技術の進歩に応じて着実に成長していくインデックスと考えられますので、むしろ投資初心者に向いています。
個別の株を調べに調べて手を出すことの方が遥かにリスクが大きく、分散投資するにも大きな費用を必要とします。
むしろ世界の産業、技術革新の中心地であるアメリカの、さらに選りすぐりの企業集団に投資が出来ることの方が初心者には向いていると思います。
さらにハイリスク・ハイリターンを狙えるETFも存在しますが、それらに手を出すのはもう少し投資家としてのレベルが上がったらにしましょう。
興味のある方は覗いてみて下さい(↓)
レバナスの積み立てを始めてみよう
レバレッジ商品は一般に長期投資に向かないとされる場合がありますが、上で紹介したようにレバナスは長期投資に向いていると言えます。
それ故に、大和レバナスでは以前からその積み立てを行うことを推奨しており、それを通称“ツミレバ”と称して解説しています。
投資というとある程度大きな元手、軍資金がないとと思う方も少なくないでしょう。確かにそうでなければ大きなリターンは見込めないかもしれません。
しかし、投資の経験が浅い方はむしろ小さく初めて経験を積む事が、後の大きなリターンに繋がるということもあります。
特に値下がり時に売ってしまい、高値で買う羽目になるなど典型的な負けパターンにはまる日本人は少なくありません。
ですので少額でも良いのでレバナスの積み立て設定をしてみて、実際に自分の資産がどのような挙動を示すのかを身を以て体験してみることを強くおすすめします。
大和レバナスと楽天レバナスはいずれも楽天証券で購入が可能です。
大和レバナスも楽天レバナスも、少額からの積立OK
SOXL、TECLなどのETFも積立・ポイント投資が可能に(2021.12〜)
楽天カードでの投資ならポイントも貯まり、ポイント投資でSPU+1%upも!
先立つものが無ければ副業を
投資の原資が確保できないという場合もあるでしょう。
資金に余裕がなければ投資は行うべきではありません。生活防衛費はしっかりと持っておかなければならないからです。
そこで、本業に加えて副業でも収入を得ることで、投資に回せるお金の確保を図りましょう。国としても副業を推進する動きがあります。
副業といってもやりたい事が見つからなかったり難しそうだったりと、なかなか重い腰を上げられずにいる方も少なくないでしょう。
誰もが始められ、それぞれの強みを活かせる場としてブログは今でも有用だと思います。参入障壁が低いにも関わらず、あらゆるジャンルで活躍する事が出来る杞憂なビジネスチャンスです。
初心者に優しいサービスも充実してきていますので、考えてみても良いと思います。遅すぎるということは全くありません。
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