価額の推移では無く積立シミュレーションが見たい
レバナスのシミュレーションと言うと、良くあるのが過去の価額の実績を証券会社等のHPで確認するか、またはETF『QLD』の推移を参照するというものです。
過去の利回りだけならそれで十分に把握することが出来ます。
無料で誰でも使える便利なオンラインツールもありますから、以下の記事で解説したように好きな時点・期間を設定してチャートを作成することが出来ます。
しかし、『毎月定額で積立を行なった場合』のようなケースで資産総額の推移について過去のシミュレーションを行うことは、上記の記事で紹介したYahoo! Financeでは出来ません。
ツールは誰でも無料で使用出来るオンラインツール『Portfolio Visualizer』を用いていますが、ちょっと使い方が面倒かもしれませんので、結果だけ参考にして頂ければと思います。


- 投資家・個人事業主・医学博士
- 投資歴15年 (学生時代から)
- レバナス/USA360/3倍ETFをメインに積立中
- 地銀→野村證券→ネット証券
- FIRE済み:好きで働いてます
レバナスの価額推移|実績
先ずはおさらいです。
レバナスの過去の価額推移は様々なデータベースで見ることが出来ますが、例えば楽天証券で確認すれば以下の通りです。


こちらはいわゆる『大和レバナス』のものです。
設定されたのは2018年の10月ですので、まだ長期と言えるほどの実績がありません。
そこで、『もっと以前からレバナスがあったらどうなっていたのだろうか?』と言う疑問に応える最も簡単な方法が、ETF『QLD』の成績を見ることです。
QLDとは、NASDAQ100のレバレッジ2倍のETFです。
レバナスの価額推移|バックテスト・シミュレーション
レバナスの代用としてQLDの価額推移を、レバレッジ無しの場合やS&P500と比較してみます。
このチャートは良く見るものだと思います。
QLDが設定された2006年6月設定以来の2022年2月までのチャートです。


左側の『Linear表示』では価額が上がるほど傾斜が急になるので、どの期間を切り取っても『直近数年はバブルに見える』という現象が起きます。
そのため、一定の割合で上昇が続いているのかを判断するためには縦軸を対数表示にする必要があることは以下の記事で詳細に解説しました。
改めて右側のグラフ(Log表示)を見ると、リーマンショック以外は3種類とも直線的な右肩上がりになっているのが分かります。
レバレッジ無しのNASDAQ100(QQQ)に比べて、レバレッジ2倍のQLD(≒レバナス)は傾きが急ですので、上昇ペースが速いということも分かります。
さて、ここまで見てきたものはレバナス/QLDの価額の推移ですが、利回りや暴騰・暴落の様子、他のインデックスとの比較などを知るにはこれで十分でしょう。
しかし、毎月一定金額を積み立てていたらどうなっていたのか?を知ることが出来ません。
レバナスは一括投資よりも積立投資が推奨されますので、資産形成のシミュレーションとしては積み立てた場合の資産の推移を知らなくてはなりません。


指定した利回りでの積立シミュレーションは簡単に行えます。
しかし実際には常に一定の利回りで資産が増加していくことはありません。
変動しながら、ドルコスト平均法を反映させながら上昇していきます。
レバナスの積立実績
レバナスを毎月一定額、積み立て続けた場合の資産の推移(実績)は、例えばモーニングスター社提供のツールで確認することが出来ます。
これは実績値ですので、あくまでも大和レバナスが設定された2018年以降の結果です。
レバナスが設定されて以来、毎月1万円を2022年1月まで積み立て続けた場合の資産総額の推移は以下のようになります。


2022年1月末時点で83.94万円となっていて、実際に積み立てた元本40万円に対して2倍以上になっているのが分かります。
積立をしていますので、レバナスの基準価額の動きと比較して上下動がやや少なく、一貫して右肩上がりになっています。
ただ2021年12月から2022年1月にかけては大きく下げており、大和レバナスはもちろん、設定間もない楽天レバナスで投資を始めた方はさぞ気を揉んだことでしょう。
暴落と呼べる程のものではありませんが、気になる方は以下の記事も参考にされて下さい。


さて、いよいよ次はこのような積立シミュレーションをもっと長期に続けた場合について、QLDを使って見てみましょう。
レバナスの積立シミュレーション|バックテスト
この記事の本題です。
バックテスト・シミュレーションで見たQLDを使い、2006年6月(QLD設定)から積立を行なってきた場合の資産総額の推移を確認します。
レバナスはそんなに以前からはありませんでしたが、もしあったらと言う過程の話として大変参考になります。レバナスでもほぼこの結果になったはずですので。



それにしてもこのような商品が日本に登場する10年以上前から米国にはあったことが羨ましいですね、、、そりゃ若者たちが続々とFIREするのも当然です。


2006年から2022年までのおよそ15年半、18,000ドル余り(元本約200万円)を積み立てた結果、資産総額はおよそ400,000ドル(4,000万円以上)にも膨れ上がりました。
QQQも100,000ドル(1,000万円)を突破していますから相当な好成績ぶりですし、それには及ばないまでもS&P500も銀行預金しているのに比べれば天と地ほどの差が生まれています。



やはり投資はするものですね、投資の有無で資産格差が広がるのも当然です。
この積み立ての実績チャートも、縦軸を対数表示にしてみます。


見事に直線的な右肩上がりです。
Linear表示では埋もれて見えなかった2013年頃までの期間も、順調に資産が成長している様子が分かります。
序盤は、資産総額に対して積み立てる金額の割合が大きいので傾きが急ですが、2年目以降はほぼ一定に見えます。
2008年末から2009年にかけてQLDだけが大きく凹んでいますが、これがリーマンショックの影響です。
確かに一時的に下落はしたものの、裏を返せば安く積み立てるチャンスでもあるわけで、2011年にはQQQやS&P500を追い抜きました。
一方、Linear表示では大きく下落しているように見えた2021年末から2022年にかけては、Log表示では微々たる下落です。
レバレッジが2倍であっても、長期に積立を行なっていれば、投資終盤で大きな下落に見舞われてもレバレッジ無しの資産額を下回ることは滅多に無いことがイメージ出来ると思います。
上記チャートの期間における、各年ごとの損益をグラフに表すと以下のようになります。


QLDは2倍レバレッジの分だけ、上がる時も下がる時も値の絶対値(グラフの長さ)が最も長くなっています。
ただ、全体として上がる年が多いため資産額は右肩上がりになるということです。
この期間の成績を表にまとめると以下の通りとなります。


『Worst Year(最悪の年:2008年)』よりも『Max. Drawdown(最大下落幅)』が大きいのは、厳密にはリーマンショックに伴う下落が2007年11月〜2009年2月までだからです。
この15年半の期間の平均利回りは以下の通りでした。
年間平均利回り:
QLD=26.08%
QQQ=16.40%
S&P500=10.58%
70%以上も下がる年もあれば、2倍以上になる年もある、という変動を繰り返した結果、平均すれば毎年これだけの利回りが続いたのと一緒だった、という計算上の数字です。
いつでもリターンがプラスになるわけでは無いことは肝に命じておきましょう。
15年以上投資していればほぼプラスになる



最後に、記事のタイトルにもある15年間という期間にどんな意味があるのか補足しておきます。
米国株は2021年までの過去121年間を遡って見ると、概ね15年以上の投資を行うことで資産が目減りするケースはほとんど無くなります。
以下の図は『Credit Suisse Global Investment Returns Yearbook 2021 Summary Edition』から抜粋したものです。
横軸は経過年数、縦軸は損益収支です。
15年を超えたあたりから『Bottom decile(=濃い塗りつぶし部分:下位10%)』でもゼロを上回るようになり、『Median(=中央値)』では終始5%を超えているのが分かります。


これは単純にホールドし続けた場合の結果であって、積み立てを行なった場合ではありません。
ただ、先ほど説明したように一括投資よりも積み立て投資の方が低リスクであることを考えると、非常に希望のあるデータです。
もちろんこれはレバレッジ無しの米国株式の成績であって、レバレッジをかけたNASDAQ100は確かに別物です。
しかしハイテクセクターが世界経済を牽引する現在の世界情勢を鑑みれば、少なくとも当面の間はNASDAQ100の強さは揺るがないものと考えられます。
レバナスの積み立て投資がこのバックテストのような成績を今後も続ける保証はありませんが、10年後、20年後に(この記事が残っているかは定かではありませんが)見返してみると面白いでしょう。



少なくとも2010年当時はここまでNASDAQ100が伸びると考えていた人は少ないでしょう。
そして、このように積み立てて築いた資産を取り崩し始める時には、以下の記事を参考にして下さい。FIREはそう難しいものでは無いと分かるはずです。
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