米国株インデックスの中でも2000年代以降特にリターンが高いNASDAQ100に2倍のレバレッジを掛けた投資信託、レバナス。
一部の投資家の間やTwitterなどでも話題になり、次第に知名度も上がってきているようです。
実際にGoogleトレンドで見ると『レバナス』と検索される頻度が急上昇していることからもそれが伺えます。
ただ、投資未経験者や初心者からすると特に、ハイリスク・ハイリターンな特性が目立つと思います。
私もレバナスはハイリスク過ぎないかと聞かれることがあります。
そのリスクを深刻に考えすぎる必要はありませんし、ひたすらにガチホしたり積み立てたりという手法が悪いとは思いません。
ただ、リスク許容度に合わせてポートフォリオを調節することは重要なことです。
そこでこの記事では、レバナスは魅力的だけど自分には少しリスクが大き過ぎるな、と感じる方がどのようにリスクヘッジを考えたら良いのかを解説します。
改めて自分のポートフォリオを見つめ直し、レバナスをどのように組み入れれば納得出来るかを考える参考にして頂ければと思います。
- 投資家・個人事業主・医学博士
- 投資歴15年 (学生時代から)
- レバナス/USA360/3倍ETFをメインに積立中
- 地銀→野村證券→ネット証券
- FIRE済み:好きで働いてます
レバレッジ倍率を落としたい場合
順を追って様々なアセットとの組み合わせパターンを紹介していきます。
レバナスはETF『QLD』で、その他アセットも各種ETFでシミュレーションを行います。
シミュレーションはPortfolio Visualizerを用い、一括投資・ホールドを想定して試算しました。
レバナスと他のアセットとを半々で保有した場合を示していきますので、どの程度リスク(ボラティリティ)が変化するのかの参考にされて下さい。
それぞれのシャープレシオ、ソルティノレシオも表示されていますが、価額のブレを反映するSD(Standard Deviation=標準偏差)を主な指標として取り上げます。
レバナス: SD=36.92%
QQQ: SD=18.02%
組み合わせ: SD=27.32%
レバナスのレバレッジ倍率は2倍です。
レバレッジ商品の中には3倍、4倍などもある中、2倍という倍率は決して高いとは言えません。
それでもやはり2倍は怖いという方は、例えば1.5倍〜1.2倍に下げてみてはいかがでしょうか。
それは単純にレバレッジ無しのNASDAQ100に連動する投資信託を同時に購入するという方法で達成することが出来ます。
- レバナス:NASDAQ100を1:1の割合で購入すれば、レバレッジは1.5倍になります。
- レバナス:NASDAQ100を1:4の割合で購入すれば、レバレッジは1.2倍になります。
つまり上に示したチャートの50:50のデータはレバレッジ1.5倍になります。
レバナスをポートフォリオの一部に据えることでリスクを抑えることが出来ますので、興味はあるけどちょっとだけ様子見したいというような場合にはこの方法が良いかもしれません。
債券と組み合わせる場合
レバナス: SD=36.92%
債券: SD=3.48%
組み合わせ: SD=18.49%
債券はETF『VBMFX』を用いています。
※ VBMFX: Vanguard Total Bond Market Index Fund Investor Shares
レバナスと逆相関する商品をポートフォリオに入れておくことで、大きな下落時などのショックを和らげたいと考える場合には、債券が向いていると言えるでしょう。
債券の利回りと価格のように原理的に逆相関になるわけでは無いので、株価暴落時に債券価格が必ず上がるわけではありません。
しかし長期金利の上昇がハイテク株の軟調の原因になることからも、レバナスのクッションになってくれることが期待されます。
投資信託の中には米国債にレバレッジをかけた商品もあり、レバレッジ無しの米国株への投資も同時に可能な『楽天・米国レバレッジバランス・ファンド(USA360)』などの商品もあります。
レバナスと組み合わせることについては以下の記事で詳しく解説していますが、レバナスと併用する商品を探している方にとっては良い選択肢の一つになるでしょう。
ちなみに私も積立を続けています。
ゴールドを入れたい場合
レバナス: SD=36.92%
ゴールド: SD=17.58%
組み合わせ: SD=20.41%
非常時の安全資産として名高い金は、株価が暴落した時の資金の流出先となることから、その需給は株式と逆相関する傾向があります。
日頃から株式に加えて金を積み立てておくことは理に適った投資手法と言えるかもしれません。
金の需要が高まった時には、金鉱株も上昇する傾向にあります。
私もコロナショックの時に保有していた商品の中で、金鉱株の上昇はとても気持ちの良いものだった記憶があります。
直接ゴールドを積み立てることも出来ますし、金鉱株を扱う投資信託を積み立てることも出来ますので、ポートフォリオを組む時には一考の価値があると思います。
ちなみに私も金の積立を続けています。
オールカントリーと組み合わせる場合
レバナス: SD=34.12%
全世界株: SD=15.80%
組み合わせ: SD=24.75%
始めに紹介した『レバレッジ倍率を抑える』のに近いですが、米国株式の中でも値動きの緩やかなインデックスと組み合わせるというのも選択肢の一つです。
代表的なRTFの一つ、全世界に投資可能なVTはNASDAQ100のおよそ80倍の数の銘柄に分散していて、その分GAFAMなどのビッグテック企業の比率も低くなっています。
以下のベン図と表はETF research centerで出力したものです(2022年4月2日時点)。
互いに重複するポートフォリオはわずかに22%です(ポートフォリオはQQQもレバナスと同様です)。
VT(全世界株)は日々の値動きも穏やかで、ITバブルの崩壊のような一部の業種が大暴落するような場面でも、極端な下落をせずに持ち堪えます。
確かにVTも米国株を含み、NASDAQ100も米国株式インデックスですので、基本的には同じような値動きのパターンを示します。
しかしVTとレバナスを同時に持つことは、全世界に投資しつつも米国のハイテクセクターにレバレッジをかけている状態ですので、攻守のバランスが良いとも考えられます。
現金を組み合わせる場合
レバナス: SD=36.92%
現金: SD=0.36%
組み合わせ: SD=18.50%
リスクの低いものを組み合わせる、と聞いて最初に思い浮かぶものが現金という方も少なく無いでしょう。
しかし敢えて最後に持ってきました。
現金を資産の一部と考えて貯蓄することは個人的にはお勧め出来ないからです。
銀行預金が好まれるのは、元本保証かつ銀行破綻時にも1,000万円までの保証があり、株価のように大きく上下することもないことに加え、昔からとにかく貯金をするようにと教え込まれてきた日本人ならではの風習のせいもあるでしょう。
確かに、直ぐに使うことが出来、日々の生活のために必要なお金は持っておかなければなりません。
生活防衛費として数ヶ月〜数年(人によって考え方は異なります)の生活費は現金・預金で持っておくことは必要だと思います。
ただし、その現金は常にインフレというリスクに晒されており、銀行に預けておくとマイナス金利(預けるだけでお金が減る)が付くというのが既に欧州では当たり前になっているという現実も知る必要があります。
インフレしない先進国、日本にいるとあまり感じないかもしれませんが、インフレしないこと自体が由々しき事態です。
- 世界では、
- あなたのように頑張って働かなくても、
- あなたよりずっと高い給料をもらっていることが当たり前になっている
ということを認識しておきましょう。
インフレについて詳細な解説をすることはここではしませんが、日本は既に貧しい国になっているということは知っておく方が良いでしょう。
以下の書籍は話題になりました、関心があれば手に取ってみると面白いと思います。
終わりに:レバナスのリスクヘッジを考える
投資は儲けて遊んで暮らすために行うものではありません(それがモチベーション、目的であってももちろん構いません)。
つまり、そもそも投資を行わないこと自体がリスクなのです。
年金も運用しなければもっと早く破綻を迎えたでしょうし、お金が無いと嘆いている理由も投資を行なってこなかったからというケースも少なくありません。
長期積立投資のリスクが極めて低いことは歴史が証明しており、短期売買で損をする無知な人が後を絶たないことも歴史が証明しています。
そのことを真摯に受け止め、正しいお金の知識を学びさえすれば、レバナスのリスクをどのようにマネージメントすれば自分で納得出来るのかが自ずと見えてくると思います。
人の意見に右往左往して流されるのではなく、自分で決められるようになりましょう。
投資を始めるのに遅過ぎることはありません。
まだ20代や30代、40代でも投資を初めてみてからポートフォリオを考えるのでも良いでしょう。
値動きのプレッシャーに慣れるという意味でも個人的にはレバナスはお勧めです。
少額からでも構わないので、ぜひ検討してみると良いと思います。
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