全世界の株を持ちたいならVT、米国の大小の企業を広く持ちたいならVTI、米国の大型株を中心に持ちたいならVOO。この3本は、まず投資範囲から比べると選びやすくなります。過去の成績で1位を探すより、「何を自分の資産に入れるか」を先に決めるためです。
いずれも株式ETFなので、元本割れはあります。本記事では投資対象、費用、同じ基準日のリターンを分けて比較し、日本から保有する場合の為替・分配金・国内投信との違いまで確認します。成績は2026年9月30日の公式資料にそろえました。
VT・VTI・VOOの違いを比較表で確認
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| ETF | 対象となる市場 | 対象指数 | 経費率 |
|---|---|---|---|
| VT | 先進国・新興国の大型、中型、小型株 | FTSE Global All Cap | 0.06% |
| VTI | 米国の大型、中型、小型株 | Morningstar US Total Market | 0.03% |
| VOO | 米国の大型株中心 | S&P500 | 0.03% |
Vanguardの2026年9月30日付資料。経費率以外に個人の売買・為替費用などがかかります。VTIの現在の名称・指数は最新資料の表記です。
時価総額で重みをつける指数では、保有銘柄の数が多くても、大企業の影響が大きくなります。VTIには小型株も入りますが、大型株中心のVOOと共通する企業も多く含まれます。「VTIの方が銘柄数が多いから、VOOと全く違う値動きになる」とまでは言えません。
VTは全世界、VTIは全米、VOOはS&P500:向く目的は?
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| 自分の考え | 主な比較候補 | それでも残る点検事項 |
|---|---|---|
| 米国以外の国の成長も市場の比率で持ちたい | VT | 全世界でも米国比率は大きい。株式全体が下がるときには損失が出る |
| 米国へ投資し、小型・中型株も含めたい | VTI | 米国一国への集中は残る。小型株が入っても大型株の影響は大きい |
| 米国の代表的な大型企業を中心に持ちたい | VOO | 米国の全企業を保有するわけではなく、海外市場の広い代用でもない |
個別の購入推奨ではなく、投資方針と商品を照らし合わせるための整理です。
「世界の売上を持つ米国企業に投資すれば、世界中の株を持つのと同じ」という説明には注意が必要です。顧客が世界中にいることと、米国以外で上場する企業の株主になることは別だからです。販売地域、企業の所属国、株式市場への配分を混ぜずに考えます。
一方、VTを選べば必ずVTIより下落が小さくなる、とも限りません。国ごとの構成、業種、為替、相場の局面によって変わります。分散は、特定の国や企業に依存する度合いを変える手段であり、毎回の損失を防ぐ約束ではありません。
リターン比較:同じ2026年9月末・分配金再投資でそろえる
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| ETF | 過去1年の累積 | 過去5年の年率 | 過去10年の年率 |
|---|---|---|---|
| VT | 16.32% | 11.34% | 12.32% |
| VTI | 15.33% | 12.56% | 14.70% |
| VOO | 15.70% | 13.75% | 15.29% |
2026年9月30日。分配金再投資を含む公式NAV成績。ファンド経費は反映、個人の税・売買手数料・円への換算は別です。1年は累積、5年・10年は年率です。

ここでは1年と10年で順位が変わっています。これだけでも、どの期間を切り取るかで印象が違うことが分かります。5年年率13.75%は、毎年必ず13.75%ずつ増えたという意味ではありません。途中にはプラスの年もマイナスの年もあり、その積み重ねを年当たりに換算した数値です。
また、1万円ずつ毎月買った人の成績は、この表の年率と同じではありません。各回のお金が市場に置かれた期間が違うためです。平均利回り・CAGR・積立の利回りの違いで、数字の使い分けを確認できます。将来の積立計算へ、この表の年率を確定利率として入力するのは避けたいところです。
経費率の差は年0.03ポイント。円の損益は為替でも変わる
0.06%と0.03%の差は年0.03ポイントです。仮に100万円にその差を単純に掛ければ年300円となります。実際の負担は残高等で変わりますが、費用の大きさをつかむ目安にはなります。数百円の差だけで、全世界へ投資するか米国だけへ投資するかを決めるのは順番が逆でしょう。
3本とも米ドル建てETFです。円で暮らす人の資産額は、株式の成績だけでなく米ドル/円にも左右されます。単純な例では、ドルで10%増えても、ドルの円価値が10%下がれば、1.10×0.90−1=−1%です。為替交換費用と税は除外した説明ですが、ドルのプラスがそのまま円のプラスになるとは限らないと分かります。
VTの保有企業は米国以外にも広がりますが、売買通貨がドルであることと、実質的な企業・通貨の分散は別の話です。「VTもドルで買うから中身は全米株」と読み替えないようにします。
分配金と国内投信:オルカン・S&P500投信との比較
これらのETFは分配金を出します。分配金込みの成績表は再投資を仮定していても、実際の口座では現金が受け取られます。再投資するなら購入単位、手数料、税、再投資までの期間を考える必要があります。税引前の公式成績を、そのまま手取りの増加率とは扱いません。
国内投信なら円の金額指定で買いやすい商品がありますが、それだけで海外ETFより有利とも不利とも決まりません。対象指数、信託報酬に加えた実際のコスト、分配方針、NISAでの取扱いを商品ごとに確認します。オルカンはMSCI ACWI、VTは小型株も含むFTSE Global All Capで、同一商品ではありません。
VTとVTI・VOOを両方買うと分散は増える?
VTの中にも米国の大企業が入っています。そのうえでVTIやVOOを加えると、米国や共通する大企業への配分を厚くすることになります。「全世界を基本に、米国を追加したい」なら説明できる組み合わせですが、単純に本数が増えるから分散が増えるとは言えません。
実際の組入比率を使った計算は、オルカン・S&P500・NASDAQ100の重複と組み合わせにまとめました。購入前に、投資先の範囲、近く使う資金、株式全体の保有額を確認します。最近よく上がったETFを選ぶだけでなく、その市場が何年か低迷しても持つ理由が残るかを考えたいと思います。
出典・計算条件・更新日
2026年10月26日確認・更新。資料の基準日と仮定計算の条件は本文・図表に併記しました。数値や商品条件は変更されるため、購入前には運用会社・販売会社の最新資料をご確認ください。過去の実績や計算例は将来の利益を保証しません。


コメント
コメント一覧 (2件)
[…] VT・VTI・VOOの違い / ETFの手数料無料の条件 […]
[…] 米国株式全体となると、ETFで言えばVTIの中身が並ぶことになります。 […]