米国株投資が注目を集めていますが、私達により身近な日本株への投資は米国株と比べてどうなのでしょうか。
儲かるのか儲からないのか。
何となく米国株の方が儲かるというイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、過去20年以上に渡って日本株と米国株に投資していた場合の資産形成に及ぼす影響を紹介します。
あくまでも過去の実績ではありますが、一事が万事という側面もあります。
是非今後の投資先選びの参考にしてみて下さい。
- 投資家・個人事業主・医学博士
- 投資歴15年 (学生時代から)
- レバナス/USA360/3倍ETFをメインに積立中
- 地銀→野村證券→ネット証券
- FIRE済み:好きで働いてます
日本株ETFの運用成績
今回、米国株とのパフォーマンス比較を行うに当たって、シミュレーションに便利なPortfolio Visualizerを使用します。
その際、日本株のサンプルとして『米国市場に上場している、日本株を対象とするETF』を用います。
代表的な3つのETFは以下の通りです。
- EWJ: iShares MSCI Japan ETF(MSCIジャパンインデックス)
- JEQ: Aberdeen Japan Equity Fund Inc(東証株価指数)
- DXJ: WisdomTree Japan Equity UCIT (WisdomTree日本hedged Equity指数)
DXJは為替ヘッジありで、他2本とやや挙動が異なります。
また世界的には、日本株のインデックスとしてMSCIが用いられる場合が多いようです。
そこで、本稿では日本株の代表としてEWJを用いることとします。
MSCIジャパンインデックスとは:
iFinance『MSCIジャパンインデックス』より
MSCI指数の一つで、米国のMSCI Inc.が算出・公表する、日本の株式等の総合投資収益を市場の時価総額比率で加重平均し、指数化した株価指数をいいます。東証1部を対象としたTOPIXや日経平均株価などとは異なり、日本の全ての取引所に上場する銘柄(大・中型株)を対象に浮動株ベースの時価総額加重平均方式で算出されており、現在、グローバル市場において、日本株投資のベンチマークとして採用されているケースも多いです。
日本株を代表する指数で、20年以上のバックテストが手軽に出来る観点から、本稿の趣旨に最適と判断しました。
日本株と米国株の運用成績比較
米国株を代表するインデックスは以下の3つとします。
- 米国株全体: VTI(Vanguard Total Stock Market Index Fund ETF)
- S&P500: SPY(SPDR S&P500 ETF)
- NASDAQ100: QQQ(Invesco QQQ Trust Series 1)
いずれもお馴染みのETFで、特にSPYはETFとして最も歴史が長く、巨大な運用額を誇る人気商品です。
VTIは広く米国株に分散投資が可能で、楽天VTIなどの投資信託としても人気です。
早速これらと日本株(EWJ)とを比較してみましょう。
2001年末から2022年3月末までのチャート比較は以下の通りです。
意外なことに(?)、リーマンショック後の回復期である2010年末あたりまでは日本株が健闘し、2001年末からの10年近くに渡ってほぼ首位をキープしてきました。
逆にその間、最も成績が悪かったのはNASDAQ100で、ITバブル崩壊の余波が残る低迷期を長く経験することになります。
状況が一変するのは2012年からです。
日本が東日本大震災からの復興を進めるこの次期以降、日本株は米国株に大きく水を開けられていくことになりました。
2012年からの10年間を見ると、その前の10年間とは打って変わって日本株は終始最下位に沈みます。
この10年でSPYやVTIは4倍以上、QQQに至っては7倍以上にも成長しました。
その一方で、日本株はたったの2倍。
成長していないことは無いですが、、、歴然たる差です。
長期の平均利回りで見ると、日本は米国の半分以下という残念な状況です。
日本は2022年4月に東証の再編が行われ、海外からの投資に対してもより積極的な姿勢を打ち出しましたが、この状況が打開されるには至らないようです。
日本の市場がさらに魅力的なものになり、何より日本経済が上向くような状況になれば話は別ですが。
現状では日本株よりも米国株に投資を継続する方が妙味が大きいと考えられます。
レバレッジをかけた場合の比較
日本株に2倍のレバレッジをかけたETFが存在します。
UJPIX: ProFunds UltraJapan Fund Investor Class
UJPIXはレバナスの日経平均バージョンで、日経225の日々の値動きの2倍になるように運用されるETFです。
ではこのUJPIXの運用成績を見てみましょう。
レバレッジ無しのS&P500(SPY)、レバナス(≒UOPIX)と比較します。
UOPIXはNASDAQ100に2倍のレバレッジをかけたETFで、QLDと同等でありながら運用期間がより長いETFです。
ITバブル崩壊時のレバナスシミュレーションが可能です。
ITバブル崩壊の真っ只中、2000年末からのチャートは以下の通りです。
終始安定して右肩上がりを続けるSPYはさすがです。
そしてITバブル崩壊がレバナスに与えた激震の凄まじさもよく分かります。
しかしリーマンショック後は米国株の盛り返しが目立つ一方、日本株は長期に低迷しています。
レバレッジ2倍ですので逓減の影響もあるのでしょうが、UJPIXだけが2000年末より2022年3月末時点の方が下がってしまっています。
結論:日経平均は長期的にみてレバレッジをかける価値が無い。
残念ながら、そういうことです。
本来、長期的にみて右肩上がりになるインデックスは、レバレッジをかけることでそのリターンを増幅させることが出来ます。
しかし日本株は、長期的にみて右肩上がりにならないのです。
より長期に見て比較した場合のチャートは以下の記事にまとめていますが、日本株は未だにバブル時代の最高値を更新出来ずにいます。
最後にダメ押しで、リーマンショック後のチャートを比較してみます。
以下の4種を比較します。
- UJPIX:日経平均(レバレッジ2倍)
- QLD:NASDAQ100(レバレッジ2倍≒レバナス)
- SPXL:S&P500(レバレッジ3倍)
- SPY:S&P500(レバレッジ無し)
パフォーマンスの差は一目瞭然ですね。
結果は、QLD≧SPXL>>SPY>UJPIX
レバレッジ無しのETFとの比較もしておきましょう、逓減がよく分かります。
- UJPIX:日経平均(レバレッジ2倍)
- EWJ:日本株(レバレッジ無し)
- SPY:S&P500(レバレッジ無し)
- QQQ:NASDAQ100(レバレッジ無し)
レバレッジをかけた日経平均の一人負け、なんとまぁ悲惨な結果です。
レバレッジを掛けたら長期的に見て資産が目減りするというのは、そのインデックスが右肩上がりになっていないことを意味します。
そんなインデックスに長期投資することは、私は絶対に避けるべきだと思います。
この、少なくとも相対的には資産形成の役に立たないインデックスのトレンドが、大きく転換するまでは米国株投資が正解なのでは無いかと強く思います。
終わりに
この記事を書き始めた時は、もう少し日本株の擁護も出来ようかと思っていました。
しかし改めてその運用成績を見るにつけ、日本株の魅力の無さに辟易としてきました。
私も投資を始めた頃は、日本の株式市場への投資を考えたこともあります。
バブル崩壊からようやく上向き、NASDAQがITバブルの崩壊に喘いていた頃、日本株は長期的には上がっていくのでは無いかと感じていたものです。
ところが、自分も社会に出てよく分かりました。
色々な見方があるのだとは思いますが、Google日本の元社長が『日本にGAFAは生まれない』と表現したことはとてもしっくり来るものです。
投資は自己責任ですし、他人の投資方針をとやかく言う権利は無いですが、日本のインデックスに投資することは私は当面は無いでしょう。
何となくではなく、投資先についてある程度勉強してから投資を始めることを強く推奨します。
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