レバナスがつみたてNISAに採用されない理由は、単刀直入に言って以下の3つです。
- 信託報酬が0.75%を超えること
- レバレッジが掛かっているから
- NASDAQ100に連動するから
百歩譲って1と2は分かりますが、3は酷い気が。。。
金融庁によれば、つみたてNISAの対象となる投資信託とETFは以下の通り説明されています。
つみたてNISAの対象商品は、手数料が低水準、頻繁に分配金が支払われないなど、長期・積立・分散投資に適した公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)に限定されており、投資初心者をはじめ幅広い年代の方にとって利用しやすい仕組みとなっています。
金融庁 つみたてNISAの概要 より
国としては、マネーリテラシーの低い国民に次々と狼狽売りされて資産を目減りさせたくは無いでしょうから、妥当な判断だと思います。
とは言え、不利益の説明が少な過ぎるので補足も必要でしょう。
そこでこの記事ではNISAと長期投資について、レバナスを例にとって『つみたてNISAの何がリスクになるのか』を考え、NISAの有用性を再考するきっかけにしたいと思います。
なお、レバナスは一括よりも積み立てが推奨されますが、その理由は以下の記事を参考にされて下さい。
- 投資家・個人事業主・医学博士
- 投資歴15年 (学生時代から)
- レバナス/USA360/3倍ETFをメインに積立中
- 地銀→野村證券→ネット証券
- FIRE済み:好きで働いてます
今の日本ではレバナスはNISAに採用出来ない
確かに、年間3%とか5%の利回りを期待して投資をするのに対して、その手数料が0.75%を超えるというのは大きすぎるという観点も分かります。
信託報酬は楽天レバナスが0.77%、大和レバナスに至っては0.99%ですから、0.1%を切るような商品がある中、結構な高さですよね。
その挙句、レバレッジのせいで逓減リスクも抱え、暴落時には目も当てられないような資産の目減りをきたし、まるでリスクの塊のような言われようをすることもある商品です。
これでは金融庁が国民に勧めようはずもありません。
つみたてNISAを開始するや否や大暴落では非難轟々です。
だから投資なんて危ないと言ったんだ!
そんなギャンブルに国民を誘導するなんて酷い!
投資はチャートとにらめっこしながらでないと出来ない!
こんな声がたくさん聞こえて来そうです。
ただ、ちょっと待ってください。
金融庁がNISAの対象に指定している商品は、いずれもその運用成績でレバナスに劣っています。
そういうとまたすぐに、
都合のいいチャートだけ引用するな!
それは株価上昇局面しか見ていないからだ!
下落が続く期間ではそんな事は言えないはずだ!
。。。確かに。
しかし、国民にリスクを回避させるだけではなく、投資をより正しく教える方が先決なのでは無いでしょうか?
リスク回避志向が強すぎて、銀行預金というもはやリスクの塊の行動に走らせたのは教育環境にも一因があると思います。
それに、リスクの回避と言っても、どんなリスクをどのような理屈で回避出来るのかの説明は無いと言っても過言ではありません。
こんな状態では確かに、レバナスをNISAに採用するのは夢のまた夢ですね。
ある程度の投資判断を自分で出来る方は、つみたてNISAを使うかどうかも自分で判断出来るはずです。
そのことについては以下の記事で詳しく説明していますので参考にされて下さい。
レバナスがNISAに採用される日は来るか?
残念ながら当分来ないでしょう。
2023年までは一般NISAで購入が可能ですが、その後は対象外になることが確定しています。
レバナスのリスクの考え方は当サイトでも解説していますが、それを理解して投資を行うためにはある程度のマネーリテラシーが要求されるのは間違いありません。
例えば以下のような記事の内容は、インデックス投資の本質(書籍で言えば『敗者のゲーム』でしょうか)を知り、短期目線ではなく長期目線で市場を捉えなければならないことを説明しています。
さらに長期目線で自信を持って投資を行うためには、人類社会の発展そのものを信じられなければいけません。
なんだか宗教チックな表現になってきましたが、長期投資の本質は正にそこにあると言っても過言では無いでしょう。
NISAを利用する日本国民の多くが、これらの内容を納得するとまで行かなくても理解をし、自身で自身のリスク許容度を測れるようになって初めて、レバナスのような商品をNISAに採用できるようになるのでは無いかと思います。
レバナスの代わりになる商品はあるか
『何をもって“代わり”とするかにもよりますが』と言いたいところですが、結論としては『ありません』。
レバレッジ商品も、NASDAQ100に連動する商品もつみたてNISAには無いからです。
以下、金融庁資料より引用———–
<政令の要件:全てに共通>
- 信託契約期間が無期限又は20年以上であること
- 分配頻度が毎月でないこと
- ヘッジ目的の場合等を除き、デリバティブ取引による運用を行っていないこと
<その他共通条件>
- 受益者ごとの信託報酬等の概算値が通知されること
- 金融庁へ届出がされていること
指定インデックス投資信託:
- 告示において指定されたインデックスに連動していること
- 主たる投資の対象資産に株式を含むこと
- 販売手数料:ノーロード
- 信託報酬0.5%以下(国内資産対象)、0.75%以下(海外資産対象)
指定インデックス投資信託以外の投資信託(アクティブファンド等):
- 純資産額が、50億円以上
- 信託設定以降、5年以上経過
- 信託の計算期間のうち、資金流入超の回数が2/3以上であること
- 投資の対象としていた資産が(i)株式、(ii)株式及び公社債、(iii)株式及び不動産投資法人の投資口(REIT)、(iv)株式、公社債及びREITのいずれかであること
- 販売手数料:ノーロード
- 信託報酬1.0%以下(国内資産対象)、1.5%以下(海外資産対象)
ETF:
- 告示において指定されたインデックスに連動していること
- 投資の対象資産が株式であること
- 最低取引単位が1,000円以下
- 販売手数料:1.25%以下
- 受益者ごとの信託報酬等の概算値が通知されること
- 金融庁へ届出がされていること
<国内取引所に上場しているもの>
- 円滑な流通のための措置が講じられているとして取引所が指定するもの
- 信託報酬:0.25%以下
<外国取引所に上場しているもの>
- 資産残高が1兆円以上
- 信託報酬:0.25%以下
※信託報酬は全て税抜き
———–引用ここまで
- NASDAQ100に連動する投資信託は指定インデックスでは無いため対象外
- アクティブファンドが米国市場に投資する場合は信託報酬1.5%でもOK
- VTIは良いけどQQQはダメ、QLDはもっとダメ、SOXLやTECLはもってのほか
なんと、統計的にインデックスに勝てないアクティブファンドはOKで、有力インデックスのNASDAQが除外されている有様です。
私見ですが、まぁ酷い条件です。
あくまで私見ですが、とんでもなく妙味の無い、投資家泣かせの条件です。
つみたてNISAで米国株投資をしたければS&P500かVTIにしときましょう、ということです。
保守的というか、本当に投資知識がゼロの人がいかに狼狽売りをしないで済むかを念頭に置いたチョイスに見えます。
まぁそれはそれでとても重要なことなのですが。
リスクを取ることが良いこととは思いませんが、もう少し幅広く選択肢があればなと個人的には思います。
その選択肢の説明が理解出来るレベルのお金の知識を付けさせるべく、2022年度からの投資教育に期待したいものです。
終わりに
制度設計の際に、日本人が投資に疎いことが十分に勘案されたことが伺えます。
しかしFIREを目指す若い世代が増えたり、2022年度からは高校でも投資の授業が始まるなど、じわじわとお金の知識が定着しつつあるように感じます。
これ以上制度を複雑にするのはどうかと思いますが、せめてつみたてNISA枠の一部をハイリスク商品に使えるようにしておけば良いのにな、とは思います。
しかしそのような変更は中々行われるものでは無いでしょうから、結論はこれに限ります。
つみたてNISAは使わず、特定口座で積み立てれば良い
マネーリテラシーの向上と資産の成長を楽しみましょう。
コメント