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投資信託で運用出来る期間は?|償還期限に注意(繰り上げ償還も)

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償還って何?
延長や繰り上げも?

投資信託には償還という概念があります。

長期投資をするに際して、ずっと同じ商品に積み立て続けられると思っていませんか?

償還とは返却を意味する言葉で、債権で投資家から預かった出資金を返金することです。

つまり運用の信託を終了し、投資商品を売却清算して現金で投資家に返還することになります。

  • 含み益なら強制的に全利益に課税されます。
  • 含み損なら強制的に損失が確定されます。

あらかじめ期限が決められている場合もありますし、無期限とされている場合もあります。

その定めによらず、延長もあり得ますし、繰り上げもあり得ます。

投資信託には償還のリスクがある

この記事では、投資信託ならではの償還という、リスクにもなり得る仕組みについて分かりやすく解説します。

目次

償還期限は必ず確認

投資信託による長期積立投資を行う、というのはNISAiDeCoの普及で徐々に日本でも定着しつつあるようです。

しかし、投資を行っている方はまだ全体の半分にも遠く及ばず、投資リテラシーの低い方が多いのはまだまだ大きな課題です。

投資をこれから始めようとされている方、始めたばかりの方は、自分が関心を持っている投資信託に今後永久に投資し続けられると思われていないでしょうか。

投資信託には償還期限が予め定められている場合があります。

どの証券会社を使う場合でも簡単に確認出来るようになっていますので、注目している・保有している投資信託についてもし把握されていないのなら今すぐ確認してみましょう。

場合により、償還期限を待たずに繰上で償還が行われる場合があります。

また更に、償還期限が定められていない場合=無期限とされている場合でも、一定の条件を満たした場合には償還が行われることもあります

そんな事が起こると自分が描いていた長期投資の目標を全く達成出来ないような事が起こりかねません。

証券会社の倒産などによる清算時には、換金される前に他の証券口座に移管する事で、売却されてしまうことを回避することも可能な場合があります。

しかしファンドの償還の場合には絶対に回避不可能です。

その時にリーマンショックのような酷い下落が襲ってきているタイミングで、あと1年待ちたいと思ってもお構い無しです。

強制的に売却され、巨額の含み損は巨額の損失として強制的に確定させられてしまいます。

そうは言っても、そんなに繰上償還されることなんて無いんじゃない?

そう思われる方も少なく無いでしょう。

実際のところどうなのか、データに基づいて説明します。

繰上償還される投資信託は後を絶たない

償還されるにはいくつか理由があります。

予定通りに運用を終える場合もあれば、予め決めてあった条件に合致したために期限を繰り上げて償還される場合もあります。

私自身、かつて保有していた投資信託が償還されて、強制的に換金された経験があります。

実際のところ、償還の中でも予め設定された期限よりも前に繰上償還されるケースはどの程度あるのでしょうか。

投信資料館投資信託協会のデータ・集計結果から当サイトでまとめたところ、過去5年以上に渡って1,000を超える投資信託が償還されており、実にその半数以上が繰上償還でした。

償還時期の統計データ

予め決めてある繰上償還の基準は、基本的にはネガティブな理由です。

例えば、2021年11月に設定された楽天レバナスの目論見書には、繰上償還について以下のように記載があります。

信託の終了(繰上償還)
1)委託会社は、次のいずれかの場合には、受託会社と合意の上、信託契約を解約し繰上償還させることができます
イ)受益者の解約により受益権の口数が 10 億口を下回ることとなったとき
ロ)繰上償還することが受益者のために有利であると認めるとき
ハ)NASDAQ-100 指数(米ドルベース)が改廃されたとき
ニ)やむを得ない事情が発生したとき

2)この場合、委託会社は書面による決議(以下「書面決議」といいます。)を行ないます。(後述の「書面決議」をご覧ください。)

3)委託会社は、次のいずれかの場合には、後述の「書面決議」の規定は適用せず、信託契約を解約し繰上償還させます。
イ)信託財産の状態に照らし、真にやむを得ない事情が生じている場合で、書面決議が困難な場合
ロ)監督官庁よりこの信託契約の解約の命令を受けたとき
ハ)委託会社が監督官庁より登録の取消を受けたとき、解散したときまたは業務を廃止したとき(監督官庁がこの信託契約に関する委託会社の業務を他の委託会社に引き継ぐことを命じたときは、書面決議で可決された場合、存続します。)
ニ)受託会社が委託会社の承諾を受けてその任務を辞任した場合またはその任務に違反するなどして解任された場合に、委託会社が新受託会社を選任できないとき

4)繰上償還を行なう際には、委託会社は、その旨をあらかじめ監督官庁に届け出ます。

楽天レバナス目論見書(2021.11.5)より

要は、誰からも見向きもされない状況になったり、あまりに下落し過ぎた場合などが想定されます。

多くの投資信託が、数値は異なれども同様の何かしらの基準を設けてあります。

そんな事は滅多に無いだろうと思われるかもしれませんが、先ほど示したように毎年数十以上にも登る投資信託が繰上償還されている状況です。

基本的に、インデックスに連動する投資信託であり、資産総額が十分に大きいものは繰上償還の心配は少ないと思います。

一方で、特定のテーマ型であったり、信託報酬が相場よりも異常に高かったり、長期に渡って資産総額の低迷を続けている商品などは要注意です。

購入を決める前に、同様の運用成績が期待出来て、より優良(同じインデックス連動、より安い手数料、より大きな資産額)の商品が無いかは必ず調べるようにしましょう。

ETFなら償還は原則されない

ETFは上場投資信託と呼ばれるものです。

投資信託ではありながら、仕組みが異なるものですので詳細は以下の記事をご覧下さい。

ETFであれば、償還という概念がそもそもありません

代わりにあるのは上場廃止です。

上場廃止が償還と異なる最大のポイントは、予め予定するものでは無いということです。

上場株式と同様に考えてみて頂ければ分かると思いますが、例えばトヨタ自動車が何年か後に上場廃止することを予定して事業を行うような事が想像出来るでしょうか。

結局は投資信託と同じで誰からも見向きもされなくなれば上場廃止に追い込まれざるを得ませんが、投資信託以上にそんなことにはならない事が資産額からも見て取れます。

ここでお話しするのは主に米国ETFについてですが、資産額の規模が投資信託の比ではありません。

主なインデックスに連動する投資信託とETFを、2022年3月時点で比較してみると以下の通りです。

対象インデックス投資信託ETF
S&P500eMAXIS Slim米国株 (S&P500)=1兆1,368億円SPY=49兆8,758億円
NASDAQ100iFreeNEXT NASDAQ100インデックス=510億円QQQ=17兆1,29億円
全米楽天・全米株式インデックス・ファンド=5,426億円VTI=22兆7,829億円
全世界eMAXIX Slim全世界株式 (オルカン)=4,807億円VT=3兆645億円
NASDAQ100 レバ2倍iFreeレバレッジ NASDAQ100=1,837億円QLD=3,174億円
2022年3月25日時点

投資信託の方を特段規模の小さいものを選んでいることはなく、eMAXIS Slim米国株 (S&P500)は国内で購入可能な投資信託では資産規模で見れば2位です。

※ 1位はアライアンス・バーンスタイン・米国成長株の1兆7,946億円です

アメリカのマーケットの大きさも去ることながら、米国ETFは世界的に運用資金が集う市場の商品であることが何よりの要因です。

そして、多くの米国ETFへの投資が日本でも手軽に出来るようになっています。

投資信託とETFにはそれぞれメリット・デメリットがあるので、それらをよく理解した上で使い分けることが重要だとは思います。

償還または上場廃止リスクの点で見ると、概ねETFの方が安心感があると個人的には思います。

ただそれは、あくまでも“マイナーな”投資信託に限ったことではありますが。

まとめ:長期投資をより確実に

長期投資が重要であることは言うまでもありません。

この記事でお伝えしたいことをまとめると:

  • 償還期限に気をつける
  • 時価総額が大きく、右肩上がりになっているかを確認する
  • 場合によりETFの活用を検討する

長期投資、資産形成を投資信託で行おうとしている方、また実践中の方も多いでしょう。

その時に、保有・積立を行なっている投資信託を継続して利用していけるに越したことはないですし、そう考えている人が多いと思います。

ところが、それが出来ない商品を持ってしまっているケースが実は少なくありません。

特に投資初心者で、何となく投資信託を選んだ方は要注意です。

私も最初はそんなミスを犯してしまったこともあります。

せっかく長期積み立てによる資産形成の重要性に気付けたのですから、それを実行可能な商品の活用が間違いなく出来るように、是非慎重に商品選びをして頂ければと思います。

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