投資について調べていると、投資信託とETFという言葉をよく聞くようになったのではないでしょうか。
上場投資信託(ETF)、、、って普通の投資信託と比べて何が違うの?
よく分からないけど、ETFの方が良いの?
そんな疑問の声も聞かれます。
ETFは投資信託のより洗練された商品の一形態と捉えることもでき、上手く活用すれば投資信託には無い高いリターンを得ることも出来ます。
代表的な人気ネット証券の一つ、楽天証券でも手軽に積立設定やポイント投資が出来るようになりました(2021年12月〜)。
それでも、投資信託の方が利便性が高く馴染みがあり、投資初心者にはコントロールし易いという側面もあります。
- そこでこの記事では、投資信託とETFの違いを初心者にも分かりやすく噛み砕いて説明します。
極力ややこしい話は排除し、難しい用語は都度補足しますので、これを機にしっかり投資信託とETFの違いを覚えて行ってください。
- 投資家・個人事業主・医学博士
- 投資歴15年 (学生時代から)
- レバナス/USA360/3倍ETFをメインに積立中
- 地銀→野村證券→ネット証券
- FIRE済み:好きで働いてます
投資信託とETFの違い
ETFはExchange Traded Fundの頭文字をとった略称で、上場投資信託と呼ばれます。投資信託と何がどう違うのか、ここではっきりさせておきましょう。
分かりやすい一覧表を用意しましたが、先ずは簡単に言葉の定義を紹介しておきます。
投資信託
株や債券などの金融商品への投資を、投資家に代わって行ってくれるまとめ買いサービスです。
運用のプロに丸投げ出来るので初心者にも優しい商品で、種類もとても豊富です。
定義を言葉にすると以下のように小難しく聞こえますが、『手数料払うから誰か代わりに資産運用やっといて』を叶えてくれる商品のことです。
「投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品で、その運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みの金融商品」のこと。
金融庁より
「集めた資金をどのような対象に投資するか」は、投資信託ごとの運用方針に基づき専門家が行います。
ETF(上場投資信託)
投資信託はお任せパックなので便利な反面、丸投げ過ぎて中身が良く分からず、手数料も高く、自由に売買が出来ないという問題があります。
ETFはそれを解消するべく、お任せパックである投資信託ごと上場させてしまおうと生まれた商品です。
投資信託でありながら株式と化したもので、優良株式を詰め込んだインデックス連動株と言えます。
金融庁の用語解説では以下のようにさらっと表現されていますが、要は株の詰め込みパックです。
一般的に、ある指標に連動する運用を行う、証券取引所に上場する投資信託のこと。指値や成行注文が可能です。
金融庁より
投資信託とETFの比較表
言葉で説明しても頭に入ってこない部分もあると思いますので、主要な比較項目を一覧表にまとめてみました。
比較項目 | 投資信託 | ETF |
---|---|---|
上場 | ○ | × |
償還期限 | 数年〜無期限 | 無期限 |
経費率(手数料) | 比較的高い | 比較的低い ※株式はゼロ |
売買単位 | 口数 | 株数 |
約定タイムラグ | 翌営業日〜 | リアルタイム |
少額投資 | 100円〜 | 1株以上〜 |
自動積立 | ○ ※100円単位 | △ ※株単位 |
自動再投資(複利) | ○ | × ※配当は手動で再投資が必要 |
価格の決定 | 1回/1日 | リアルタイム |
指値注文 | × | ○ |
S&P500 | 色々 | VOO, SPY, IVV |
NASDAQ100 | 色々 | QQQ, 2568 |
レバレッジS&P500 | iFreeレバSP (2倍) | SPXL (3倍) |
レバレッジNASDAQ100 | レバナス (2倍) | QLD(2倍), TQQQ(3倍) |
総評 | 選択肢が多く利便性が高い | 透明性と自由度が高い |
最低限の違いをピックアップしただけでも結構な特色の差が見えてきたと思います。
日本では圧倒的に投資信託がメジャーで、初心者にもとっつき易く、NISAやiDeCoでもお馴染みだと思います。
一方ETFは、中身は投資信託ですが扱いは株式ですので、少し敷居が高いイメージがあるかもしれません。
しかし多くの投資初心者を取り込んでいる楽天証券でも、2021年12月から米国ETFの自動積立やポイント投資が可能になるなど、間口が広がりました。
じわじわとETFへの関心が高まってきているように感じます。
投資信託とETFの具体的な商品比較
どんな時に投資信託を買い、どんな時にETFを買うのが良いのでしょうか。
具体的な商品を例に挙げて比較してみますので、自身の投資スタイルに合わせて考えてみましょう。
S&P500に投資したい場合
米国株インデックス投資の中でも非常に人気の高いS&P500ですが、投資信託でもETFでも投資を行うことが可能です。
投資信託であれば、以下のような商品が代表的なものになります。
- iFree S&P500インデックス(大和アセットマネジメント)
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)(三菱UFJ国際投信)
- つみたて米国株式(S&P500)(三菱UFJ国際投信)
- NZAM・ベータ S&P500(農林中金全共連アセットマネジメント)
一方ETFでは以下のような商品があります。
運営元は世界3大運用会社と称される巨大グループ達です。
- VOO(Vanguard 500 Index Fund ETF)
運営:Vanguard
- SPY(SPDR S&P500 ETF)
運営:State Street
- IVV(iShares Core S&P 500 ETF)
運営:Blackrock
投資信託もETFもS&P500に連動した運用が行われ、その運用成績はほとんど差がありません。
先ほどの表に示したように、1,000円単位などの少額から積立を行いたい場合には投資信託を選択することになりますし、リアルタイムに取引したければETFを選択しなければなりません。
ただ、このようにメジャーなインデックスに投資するだけであれば、初心者の方はわざわざETFを選ぶ必要性は低いと言えるでしょう。
投資信託でも信託報酬(手数料)が低く抑えられた商品が多数あり、ノーロード(売買手数料なし)の商品も増えましたので、コストはあまり気にしなくても良いかもしれません。
NASDAQ100に投資したい場合(レバレッジなし)
S&P500と同様にNASDAQ100も人気の米国インデックスで、その成長はS&P500の比ではありません。
こちらも、投資信託でもETFでも投資を行うことが可能です。
投資信託であれば、以下のような商品が代表的なものになります。
- iFreeNEXT NASDAQ100インデックス(大和アセットマネジメント)
- eMAXIS NASDAQ100インデックス(三菱UFJ国際投信)
- インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)(日興アセットマネジメント)
一方ETFでは以下のような商品があります。
- QQQ(Invesco QQQ Trust Series 1)
運営:Invesco
- 2568(上場NASDAQ100米国株(為替ヘッジなし))
運営:日興アセットマネジメント
2568は日本で2020年に設定されたETFです。知名度も歴史も資産総額も圧倒的にQQQが上ですが、運用成績には大きな差は生じないと思われます。
NASDAQ100に投資したい場合(レバレッジあり)
NASDAQ100の投資信託と言えば、本サイトを良く読まれる方にはお馴染みの『レバナス』があります。
レバナスを公式愛称にしているのは2021年11月に登場した後発品『楽天レバレッジNASDAQ-100』で、2018年から一部の投資家がレバナスと呼称していた先発品が『iFreeレバレッジNASDAQ100』です。
紛らわしいですが、この2商品の違いで説明した通り、大差はありませんので投資する時はどちらでも問題ありません。
レバナスはレバレッジ倍率が2倍ですが、レバレッジが3倍の商品もあります。
- iFreeレバレッジ NASDAQ100(大和アセットマネジメント)2倍
- 楽天レバレッジNASDAQ-100(楽天投信投資顧問)2倍
- NASDAQ100 3倍ブル(大和アセットマネジメント)3倍
一方ETFでは以下のような商品があります。
- QLD(ProShares Ultra QQQ)2倍
運営:ProShares
- TQQQ(ProShares UktraPRO QQQ)3倍
運営:ProShares
レバナスとQLDの比較記事で、日本で買うならどちらがおすすめか、その判断基準について詳しく解説しています。
また残念ながら国内ではTQQQの購入は出来ず、またNASDAQ100 3倍ブルは2023年10月20日が償還期限となっています(2022年1月現在)。
償還期限とは、その日を迎えた時に強制的に償還(売却)され、運用を終える事を意味します。
場合によりその期限が延長されることもありますが、原則としてこの日で運用を終えることになります。
償還期限なしで3倍のレバレッジを使いたい場合
投資信託では高レバレッジ(2倍を超える)商品については償還期限が設定されているものばかりです。
NASDAQ100の項目で紹介したTQQQは購入することが出来ませんが、他にも3倍レバレッジETFが存在し、それらは国内でも購入が可能です。
中でも、大型グロース株の影響を強く受けて大きな値上がりを見せているのは以下の4つのETFです。
- SOXL(半導体関連銘柄に集中投資、GAFAM含まず)
- WEBL(インターネット関連銘柄に集中投資)
- TECL(テクノロジー関連銘柄に集中投資)
- SPXL(S&P500)
これらの商品については以下の記事で詳しく紹介・解説しているので参考にされて下さい。
インデックスを上回る投資成績を目指したい場合
インデックスの成績を上回ることを目指して運用するアクティブファンドは、投資信託ならではの存在です。
バリュー株、グロース株を巧みに入れ替え、ファンドマネージャーの手で最大限の値上がりを目指してポートフォリオを組み替えながら運用します。
ひふみプラス(レオス・キャピタルワークス)などが有名で、インデックスを上回る運用成績を示すシーンも見て取れます。
ただし、原則としてアクティブファンドはインデックスファンドに勝てない事を認識しておきましょう。
チャールス・エリス氏の名著『敗者のゲーム』でも説かれる通り、インデックスを上回ること、ましてや長期的に上回り続けることは不可能と思っておいた方が良いです。
あくまでポートフォリオの一部に、リスクを取って入れておくくらいの心構えでいる事をおすすめします。
投資信託に組み入れられているETFの存在
投資信託は株式や債券のまとめパックと紹介しましたが、そこで言う株式の部分が実はETF、という商品もいくつか存在します。
有名なのは以下の2商品です。
- 楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天投信投資顧問)
- 楽天・米国レバレッジバランス・ファンド(USA360)(楽天投信投資顧問)
USA360はVTI(ETF)と米国債券との組み合わせで、債券部分にレバレッジを掛けた商品です。
詳細は以下の記事をご覧下さい。
広く分散投資する商品をETFとして組み入れることで、運用管理も手間が省けます。
今後もこのような商品は増えてくると思われます。
終わりに
投資信託とETFは似て非なるもの、それぞれにメリットとデメリットがあり、投資家によって選ぶべき商品も異なることがお分り頂けたと思います。
本サイトで紹介する数々の投資信託やETFの説明の基盤となる概念ですので、良く分からなくなったら再度この記事の比較一覧表を参考にしてみて下さい。
投資信託やETFを購入、積み立てるのであれば、様々な改悪が話題になったものの楽天証券をおすすめします。
改悪と聞くとネガティブなイメージが強いですが、それだけサービスし過ぎだったと言うだけのことです。十分にお得で、ネット証券ならではの手数料の低さとお手軽さは初心者にも優しいと思います。
大和レバナスも楽天レバナスも、少額からの積立OK
SOXL、TECLなどのETFも積立・ポイント投資が可能に(2021.12〜)
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