2010年代からは特に、S&P500より運用成績が良いNASDAQ100が注目を浴び、レバレッジをかけるならNASDAQと言われてきました。
当サイトでもNASDAQ100に2倍のレバレッジをかけた『レバナス』については、FIREに有用であるとして度々紹介・解説してきました。
しかし、ウォーレン・バフェット氏も認めるS&P500も根強い人気があり、
どうせ右肩上がりになるならNASDAQより安定しているっぽいS&P500が良いのでは。
という声も多く聞こえます。
互角ですよね?
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この記事では順を追ってこれを説明します。
比較する期間によってはS&P500の方がNASDAQ100より成績が良いこともありますし、2010年代後半のGAFAMの急激な成長のようにNASDAQ100を大きく躍進させる時期があることも事実です。
そのため、
安定した魅力のあるS&P500をメインに据えたポートフォリオを組みたいけど、NASDAQ100に負けない高いリターンも欲しい。
という欲張りな意見が出てくるのも当然です。
そんな声に応えてくれるのがS&P500に3倍のレバレッジをかけたETF“SPXL”です。
その運用成績やレバナスとの比較を見て、投資判断の参考にして頂ければと思います。
繰り返しますが、結論は『3倍レバレッジS&P500はレバナスと同等の成長速度』です。
- 投資家・個人事業主・医学博士
- 投資歴15年 (学生時代から)
- レバナス/USA360/3倍ETFをメインに積立中
- 地銀→野村證券→ネット証券
- FIRE済み:好きで働いてます
レバナスとSPXL
この二つの商品がそもそもどんなものなのか、簡単におさらいしておきます。
レバナス:
NASDAQ100の日々の値動きの2倍の値動きになるように運用される投資信託(詳細はこちら)
SPXL:
S&P500の日々の値動きの3倍の値動きになるように運用されるETF(上場投資信託)
この記事では投資信託とETFの違いについての詳細な説明は割愛しますが、レバナスとSPXLを比べる上でポイントとなる一般的な特徴を簡単に説明すると以下の通りです。
投資信託:
1日1回値段が決まる、指値注文出来ない、経費高め、100円単位で購入可
ETF:
市場が開いている間は値段が変動、指値注文出来る、経費低め、1株単位で購入
いずれもレバレッジのかかったインデックス型商品で、2022年2月現在は日本国内で簡単に購入(積立含む)が可能です。
レバナスとSPXLを比較する妥当性
|||早く互角の戦いが見たい!という方はここはスキップして下さい|||
レバナスとSPXLというキーワードで検索してこの記事にやって来られた方にとっては必然ですが、この二つの比較は一見するとチグハグにも見えます。
連動するインデックスも、レバレッジ倍率も、投資商品の種類(投資信託とETF)も異なっているからです。
普通なら、
レバナス vs レバSP500(インデックス違い)
レバナス vs QLD(商品属性違い)
SPXL vs TQQQ(インデックス違い)
SPXL vs SOXL(インデックス違い)
のような比較になるでしょう。
しかし、冒頭で触れたようにレバナス並みのリターンをSP500でも得たいという考えの人が結構いるのです。
そこで敢えてレバナスとSPXLの二つを比較する妥当性を挙げるとすると、以下のように言えるかと思います。比較の前提を整理する上で参考までに。
先ずレバナス。
日本国内で購入可能なNASDAQ100に2倍レバレッジをかけた商品のうち、長期積立に必要な条件(償還期限の定めなし)を備えた商品の代表。
2018年11月の設定以来ずっと、楽天証券で定額積立やポイント投資が可能だったため多くの投資家が活用していることから比較対象としました。
NASDAQ100はハイテクセクターが集中する、世界のテクノロジー進歩を最も如実に反映するインデックスと言えます。
ETF“QLD”もNASDAQ100の2倍レバレッジ商品ですが、日本においては圧倒的にレバナスの利用者が多いと思われます。レバナスのバックテストには有用ですのでその点では本稿でも使います。
次にSPXL。
S&P500に2倍レバレッジをかけた商品として、投資信託『iFreeレバレッジS&P500』がありますが、2倍レバレッジでは巨大IT企業たちの比率が低いことから急激なハイテクセクターの伸びの恩恵をレバナスほどは受けられませんでした(レバナスとレバSP500比較)。
そこで、レバレッジ倍率を3倍に上げた商品として、SPXLを選択しました。2021年12月からは楽天証券で自動積立・ポイント投資とも可能になりましたので投資のハードルが下がったことも投資家には嬉しいニュースです。
S&P500はNASDAQ100の5倍の企業数を擁するインデックスで、同じく歴史的に右肩上がりを続けている強力なインデックスです。
最後にTQQQにも少し触れておきます。
なぜTQQQを比較対象に選ばなかったのか?
NASDAQ100の3倍レバレッジETFですが、残念ながら日本国内で取り扱いがありません。
過去の成績ではこのTQQQが圧倒的ですが、そこに投資する術が無いので日本ではその他の3倍レバレッジETF(SOXLやWEBLなど)を利用するケースも見られます(私はSOXLを利用中)。
以上のことから、
A. 勢いのあるNASDAQ100に2倍のレバレッジをかけるか
B. 安定のSP500に3倍のレバレッジをかけるか
という考え方の違いは、
攻めと守りの優先順位と、リターンを求める貪欲さとのバランスによって生じると考えられます。
ここから先はこの二つの商品の運用成績の違いに焦点を当てていきますが、迷ったら『どっちも持つ』という選択肢が取れるのも投資の良いところです。
しっかり自分で投資判断が出来るよう、正しい情報を持っておくようにしましょう。
レバナスとSPXLの運用成績
先ずはQLDの設定(2006年6月21日)以来の15年間ほどの運用成績を見てみましょう。
※SPXLの設定は2008年11月5日です。
QLDは仮想レバナスだと思って下さい。
見事にQLD/レバナスの圧勝です、恐るべしNASDAQ100。
3倍でもSP500では追い付くことが出来ないのか。。。
しかし、2021年の1年間に限定して見てみると、全く様相が異なるのが分かります。
今度はSPXLが2倍以上の大差を付けて圧勝、という結果になりました。
一つ目の比較チャートの2021年の部分と印象が違うけど、なんで??
1の5倍は5ですが、10の5倍は50だからです。
一つ目のチャートでは長期間の推移を見ていたので2021年1月時点のQLDの値の方がSPXLよりも高い位置にあります。
そのため、同じ倍率で値上がりしたとしても、初めから高い位置にいたQLDの方が大きく上がったように見えるのです。
この現象は、チャートの起点を変えると全く見栄えが変わってしまうという問題を生じます。
どの期間を切り取るかで上昇/下落の大きさが強調されたり、勝ち負けが簡単に入れ替わったりしてしまうのです。
ではどうすれば実際の上昇率を比較出来るのか?
簡単に客観的な比較を行う方法があります。
対数グラフで表示することです。
分かりやすいように、以下の4種類のチャートを比較して見ます。
QQQ :NASDAQ100
QLD :NASDAQ100 レバレッジ2倍
VOO :S&P500
SPXL:S&P500 レバレッジ3倍
今度はチャートの『傾き』に注目して下さい。
レバレッジのかかっていないQQQとVOOは、わずかにQQQの方が傾きが大きいです。
一方、レバレッジのかかったQLDとSPXLはともにそれらよりも傾きが大きく、QLDとSPXLとの間にはほとんど傾きに差がないのが分かります。
加えて、コロナショックからの立ち上がりはSPXLの方が傾きが急になっています。
対数グラフで見るとインデックスは直線的に右肩上がりになっており、レバレッジはその傾きを大きくする効果があることがよく分かります。
結論として、『3倍レバレッジS&P500はレバナスと同等の成長速度』と言えることがお分かり頂けたと思います。
レバナスにするかSPXLにするか:まとめ
投資信託とETFの違いが根本的によく分からないという方は以下の記事を参考にされて下さい。
原則として、インデックスは種類によって傾きは違えど右肩上がりになっていきます。
対数グラフで見ていれば、どれも直線的な上昇になります(日本株は別)。
ポートフォリオをどのように組むのか、レバナスにUSA360を組み合わせた場合を例にとって解説した記事がありますが、大切なのはその中身を理解した上で自身で判断出来るようになることです。
ポートフォリオの組み方に制限はありませんし、レバナスは100円から投資をすることも出来ます。
SPXLは現物株式になりますので1株単位でしか売買できませんが、楽天証券ならポイントも利用出来ますし限度額を設定すれば自動積立も行うことが出来ます(限度額範囲で購入可能な最大株式数を自動買付)。
先ずは少額でも投資を始めてみることが肝要です。少額投資にも大きな意味がありますので。
もし先立つ物がないということであれば、軍資金は副業で稼ぐのもおすすめです。
当サイトのようなブログであれば誰でも簡単に始めることが出来ます。
具体的にどのように運用すれば収益化が見込めるのか、そのtipsについてもまとめていますので是非参考にしてみて下さい。
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