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INDL:BRICSブームの成れの果てか|要注意のインド投資レバレッジETF

ETF-INDL
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インドの成長力に期待?
人口増が追い風になる?

随分昔から言われ続けた言葉です。

インドは2000年代にちょっとしたブーム(当時の私も乗っかって後悔した投資先の一つ)になったBRICSの一角です。

BRICSBrazil, Russia, India, China, and South Africa

BRICSという言葉は2001年に誕生し、当時成長が期待されていた4カ国+南アフリカを指して用いられました。

中でもインドは中国に次ぐ人口の多さで、今なお期待を持たれる国の一つです。

インドに投資をするにはどうしたら良いのか?

インド株に投資可能な投資信託もありますが、レバレッジをかけたい場合にはETF『INDL』一択でしょう。

そこでこの記事では、INDLのこれまでの運用成績を振り返って紹介します。

インドに2倍のレバレッジ投資をするINDL

結論として、レバレッジをかけて投資するような状況には(少なくともこれまでは)無く、要注意です。

目次

INDLとは

Direxion Daily MSCI India Bull 2X SharesというETFのことです。

ETFは上場投資信託のことです。

DirexionはレバレッジETFを好んで利用されている方にとっては馴染みのある運用会社だと思います。

SOXLやTECL、WEBLなどを取り扱っている会社です。

INDLはそのDirexion社が、MSCI India Indexの2倍の値動きになるように運用するETFです。

なおこのインデックスに直接投資することは出来ません。

2020年10月29日より、レバレッジ倍率が3倍から2倍に変更されました。

基本的な情報は以下の通りです。

設定日2010年3月11日
経費率0.95%
資産総額7,491万ドル
1年トータルリターン29.14%
5年トータルリターン-4.04%
ブルームバーグ『INDL』より(2022年4月14日時点)

5年間のリターンがマイナスというのはあまり歓迎されるものではありませんが、1年(2021.4〜2022.4)のリターンは29%と流石はレバレッジのかかった商品といったところです。

設定来のチャートは以下の通りです(比較対象にSPY=S&P500を示しています)。

INDLの設定来チャート
クリックで拡大出来ます

SPY(S&P500)がINDLです。

INDLはかなり悲惨な状況が続いています。

10年以上のスパンで見ても、その運用成績はマイナスです。

2020年以降に注目しても、コロナショック以前の水準に戻すことすら出来ていません

レバレッジ3倍でコロナショックの暴落を受け、その後の回復期にレバレッジを2倍に落とすという最悪のタイミングでの修正が入ったことも要因の一つでしょう。

しかしそうでなくても長期に渡って冴えない成績が続いています。

積み立てを行う場合には、資産の推移が必ずしもチャートの見た目通りにならないので、そのバックテストも行ってみました。

INDLの積み立てシミュレーション
クリックで拡大出来ます

SPYを赤INDLを青元本(現金)を黄色で示しています。

Y-bow

積み立ててもやはりINDLのパフォーマンスはボロボロです。

元本割れの期間も長く、2022年3月末時点でも元本割れの状況です。

少なくとも2010年末以降の11年間余りの成績からすると、投資対象としての妙味は見出せません

では次に、ファンドの内訳を見てみましょう。

構成比率上位10銘柄は以下の通りです。

銘柄名構成比率
1Reliance Industries9.30%
2Infosys8.85%
3Housing Development Finance6.11%
4Icici Bank5.22%
5TCS Group Holding4.75%
6Hindustan Unilever2.67%
7Bajaj Finance2.61%
8Bharti Airtel2.32%
9Axis Bank2.12%
10HCL Technologies A1.97%
Direxion『INDL』より(2021年12月31日時点)

ほとんどが馴染みのない会社名では無いでしょうか。

ぱっと見で“Bank”や“Finance”というワードが目立つので、金融関連の銘柄が多いのかな、という印象を持たれるかもしれません。

投資対象のセクター毎の内訳を見てみると、実際に金融関連の比重が大きいことが分かります。

セクター構成比率
1Financials(金融)23.85%
2Information Technology(情報技術)19.82%
3Energy(エネルギー)11.33%
4Materials(素材)9.96%
5Consumer Staples(生活必需品)8.60%
6Consumer Discretionary(一般消費財)8.27%
7Health Care(ヘルスケア)4.97%
8Industrials(資本財)4.77%
9Utilities(公益事業)4.63%
10Communication Services(通信サービス)3.14%
11Real Estate(不動産)0.65%
Direxion『INDL』より(2021年12月31日時点)

情報技術やエネルギー、素材が多い一方で、公益事業や通信サービス、不動産セクターなどは比率が低くなっています。

米国株インデックスを見慣れていると、バランスが異なっているのがよく分かると思います。

インド株の成長性

全くパッとしない運用成績が続くINDLですが、今後の期待感はどうでしょうか。

良く聞く主張の一つに人口増加が挙げられます。

インドの人口は2022年現在、中国に次ぐ世界第2位です。

中国が約14.5億、インドが約14億の僅差です。

Y-bow

3位の米国が3.3億ですので、ダントツのツートップです。

人口増加率はインドの方が高く、直にインドが世界人口第1位となるでしょう。

では、人口が増えていれば経済成長力が強いと言えるのでしょうか?

残念ながらそうとは言い切れません。

確かに若い世代が多く、生産年齢人口の割合が高ければ成長性を大きく買いたくなるのも分かります。

人口動態以外のパラメーターが同一なら、間違いなく少子高齢化社会の進む国より強いでしょう。

しかし、実際には多くのパラメーターが入り混じって国の成長力は決まります。

事実、確かに人口とGDPとの間には一定の相関関係が認められます。

GDP=1人当たりGDP × 人口

で求められますので当然といえば当然です。

ところが、この1人あたりGDPが国によって大きく変わるため、単純に人口の多い少ないでGDPや成長率は測れないのです。

人口の多い国の例

例えば、米国の3.3億に次ぐ人口を誇るのはインドネシア(2.8億)、パキスタン(2.3億)、ナイジェリア(2.2億)です。

しかしインドネシアのGDPは日本(1.3億)のわずか5分の1程度です。

パキスタンはさらにその4分の1です。

Y-bow

インドも2020年のGDPは2.6兆ドルですから日本の半分程度です。

中国も同様に散々成長が期待されてきましたが、政策の影響が強いとは言え中国株は大きく成長することもなく、巨大な少子高齢化国家と成り果てました。

もちろん今後のインドに全く成長が期待出来ないということではありません。

ただ、一時のブームだったBRICS投資の二の舞にならないように、慎重になるべきだと思います。

Y-bow

BRICS投資で何の成果も出せなかった私の教訓です。

終わりに

インド株にレバレッジをかけて投資が可能なETF『INDL』について紹介しました。

またインド株の成長性を考える際に取り沙汰される人口について、多ければそれだけで成長に繋がるとは限らないことも確認しました。

インドは200年以上も前から世界2位であり続けて、この程度の成長だった訳ですから。

インドの成長性については他にも、

  • アメリカ西海岸との時差が12時間
  • 英語に強い
  • ITに強い

などがよく挙げられます。

いずれも重要なポイントで、日本よりも大きなアドバンテージになることでしょう。

しかしそれも今に始まったことではありませんし、結局は米国中心の見方です。

Y-bow

つまり米国がやはり強いのだと、インドを見ていても思ってしまいます。

それはこの記事でも確認したように、長期的な成績が物語っています。

レバレッジが掛かっているので逓減が、、、と思う方は、米国株への長期レバレッジ投資(ITバブル崩壊、リーマンショック含む)の成績を見返してみて下さい。

こうした情報をしっかりと頭に入れた上で、INDLへの投資を検討するようにしましょう。

長期投資でずっと含み損など、目も当てられませんので。

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