- 投資家・個人事業主・医学博士
- 投資歴15年 (学生時代から)
- レバナス/USA360/3倍ETFをメインに積立中
- 地銀→野村證券→ネット証券
- FIRE済み:好きで働いてます
奨学金を返済しながら投資でFIREした筆者が解説します。
借りることについては以下の記事を参考にされて下さい。
はじめに
進学や資格の勉強など、しばしば学習にはお金が掛かります。
その支援を目的に、学生に対して一定の学費/生活費として貸与(or 給付)される奨学金。
その利用者は10年ほど前(2012年)までは年々増えており、その後は高止まりの様相です。
本稿は、日本学生支援機構から大学4年間・大学院修士3年間・大学院博士3年間、借り続けた私の経験をもとに、社会に出るときに借金を背負うということの捉え方を改めて考えて頂ける内容になっています。
特に、資産運用よりも借金返済を好む日本人の気質に照らし、奨学金の活用を今一度見直してみるのも良いのではと思っています。
つまり、奨学金ほど効率の良い借金は無いと思うのです。
この記事のターゲット
- 奨学金を借りようと考えている本人・またその親御さん
- 奨学金を借りて学生生活を送っている学生
- 奨学金を返済しながら社会人として活躍している主に新人
そもそもローンとは
借金をして分割で返していく、というイメージです。
ローンにも種類があり、またそれぞれ規模感も異なります。
以下でいくつか具体的なローンに触れて解説しますが、大きくは1).用途を定めたローン(住宅や車など)と2).用途に定めのないローン(カードローンなど)に大別されます。
本稿で注目するポイントはそれぞれの利率です。
貸し手が借り手を信用してお金を貸し、借り手が上乗せして返す利子が貸し手の利益となる構造です。
当然、借り手は利子が少ないものを探した方が得となります。
ローン比較
具体的に3種類のローン(住宅、自動車、カード)の利率を比較してみます。
年間利率 | |
---|---|
住宅ローン | 2.475〜3.350% |
自動車ローン | 2.5〜6% |
カードローン | 1.4〜20% |
比較対象1. 住宅ローン
住宅ローンはその名の通り住居を購入する際に銀行などで組むローンです。
ここで注意して頂きたいのは、投資用の不動産を購入する際のローンでは無いことです。
あくまでも自身が住む目的の購入であって、貸し出すことを前提にしたアパートやマンション、一戸建てを購入する場合には対象になりません。
さて、それでは住宅ローンの相場を確認してみましょう。
2021年4月現在の年利は2.475%〜3.350%となっています。
比較しやすいように、利息/利子については以降全てこの年利で統一して説明します(1年あたりの利息/利子という意味です)。
夢のマイホームのための借金です、少々金額が大きくても張り切ってしまう方も少なく無いでしょう。
賃貸にすべきか購入すべきかという議論も尽きないですが、ここではあくまでもローンで購入し、家賃に代わって毎月返済していくモデルを考えます。
住宅ローンの年利が高いのか低いのか、直感的には分かりにくいと思いますので、まずはその他のローンを見てみることにしましょう。
比較対象2. 自動車ローン
次に自動車ローンの相場を見てみましょう。
これも読んで字の如く、自動車を購入するためのローンです。
よくマイカーローンなどというワードを耳にするかもしれません。
一括で購入するにはハードルの高い高級車でも、複数年に渡って分割して支払いをすることで手が届くようになったりします。
何も高級車でなくても、車を購入する負担を時間で分散することで、生活にゆとりを確保することにも繋がりますので、利用者も多いことでしょう。
2021年現在のおおよその相場は年利2.5%〜6.0%程度です。
先ほどの住宅ローンより少し高めですね。
ただ、もちろん幅はありますが、住宅の購入に比べれば金額は小さくなるケースがほとんどでしょうから、金利が少し高くても総支払金額に与えるインパクトは小さく映り、これまたマイカーに胸を膨らませての勢いで、などということもあるかもしれません(何を隠そう私がそうでした、まだ学生の頃に憧れのドイツ車を残価設定型ローンで)。
価値観は人それぞれと思いますが、私はこのローンのおかげで大変に楽しいマイカー生活を送ることが出来ました。
比較対象3. カードローン
カードローンは銀行などの金融機関や消費者金融が取り扱うローンのことです。
クレジットカードで行うキャッシングと混同しがちですが、例えばJCBでは以下のように説明されています。
ローン専用カードを利用するサービスを「カードローン」、クレジットカードでローンを利用するサービスを「キャッシング」と定義しています。どちらもお金を借り入れることができますが、カードローンのほうがキャッシングに比べ、借り入れをしたいお客様にとってメリットがある条件となっています。
JCBカード『キャッシングに関するQ&A』より
貸金業法にもとづいてカードローンやキャッシングサービスを提供しています。カードローンはお借り入れ専用のサービス、キャッシングはクレジットカードの付帯サービスだとお考えください。
カードローンはローン専用のカードを使って行うもので、一般にキャッシングよりも年利は低く設定されているようです。
テレビCMなどでも消費者金融のカードローンサービスはよく見かけるので、一般に最も馴染みのある借金と言えるかもしれません。(借りすぎには注意しましょう!)
カードローンの取り扱い機関は実に様々で、かつ借り入れ金額等によって年利も大きく変動し、その一般化を行うことは出来ませんが、おおよその相場は1.4%〜最大20%(この上限は利息制限法、出資法により定められています)です。
最大金利を目にすると高いなという印象はありますが、ピンキリです。
奨学金の特徴
奨学金(日本学生支援機構)
ではいよいよ本題の奨学金の年利を見てみましょう。
これは日本学生支援機構のHPで最新の情報が随時公開されていますので、下の画像は本稿執筆時点のものとして参考までにご覧下さい。
これは第二種と呼ばれる“利子付き”の奨学金の場合です。
日本学生支援機構にはこれとは別に第一種と呼ばれる“無利子”の奨学金も存在します。
私は大学生の間は第二種、大学院生の間は第一種を借りていました。
第二種の年利は表からも明らかなように、2021年9月現在で0.003%〜0.468%です。
これはここまでで紹介したいずれのローンよりも圧倒的に低金利であると言えます。
通常、金融機関からこれほどの低金利で融資を受けられる一般人はなかなかおらず、余程のお得意様で無い限りは不可能でしょう。
奨学金は繰上げ返済すべきか?
結論、その必要性は全く無いと思います。
奨学金を繰上げ返済した上で、リボ払いだのマイカーローンだの住宅ローンだのを払っている人は本末転倒です。
ここまで見てきて、奨学金が極めて優遇された金利(場合により無利子)であることはご理解頂けたと思います。
冷静に考えてみましょう、もし奨学金の返済をしながらもその他のローンを組むようなことがあるのなら、より低金利である奨学金を繰上げ返済するよりも他のローンを繰上げ返済するべきでは無いでしょうか。
更に言えば、もし先々何かしらのローンを組む可能性があるのであれば、奨学金よりも低金利で借りられる可能性は極めて低いわけですから、奨学金を繰上げ返済せずにそのお金を手元に残しておき、将来組むローンの負担を少しでも小さくするべきでは無いでしょうか。
もっと言えば、繰上げ返済をする資金があるならそれを元手に投資に回した方が資産形成上は有利になるはずです。
わずか1%未満の金利を払っておきさえすれば返済は出来る一方で、投資をすればその何倍もの利益を享受出来る可能性があるからです。
ちなみに投資は怖い、暴落で終わると言う意見がしばしば出ますので、以下の記事で補足しておきます。
終わりに
概して日本人は特に、借金を抱えている状態を嫌う傾向にあるようです。
借金する事そのものの是非についてはさらに議論が必要なので本稿では触れませんが、何となく嫌という理由で避けるのではなく、借金も適切にマネージメントする事で生活にゆとりを持たせましょう。
直感ではなく理論的に検証考察するクセをつけておくことが肝要だと思います。
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