1997年に設定されて以来、既に25年近くもの運用実績があり、バックテストを行う上では誰もが最も手軽に参照出来るデータが揃っています。
レバナス | QLD | UOPIX | |
---|---|---|---|
種別 | 投資信託 | ETF | 投資信託 |
設定日 | 2018.10.19 | 2006.6.21 | 1997.12.1 |
レバレッジ (倍) | 2 | 2 | 2 |
経費率 (%) | 0.99 | 0.95 | 1.51 |
一般にレバナスはQLDと比較されがちですが、それだとどうしてもITバブル崩壊時のシミュレーションが出来ません。
NASDAQ100の値動きを元にレバレッジ2倍の計算を行うことも出来ますが、手間が掛かる割には正確性に欠けるという欠点があります。
そんな時に便利なのがUOPIXです。
その運用成績は経費率の差もあってQLDに若干の遅れを取ります。
そこがまた良いポイントです。
経費率だけ見ればレバナスはQLDとUOPIXの間に位置しますから、レバナスは少なくともUOPIXと同等以上のパフォーマンスが期待出来ると考えられます(運用条件が100%同じとは言えないため厳密には判断が困難ですが)。
そこで本稿では、UOPIXを使って25年間のレバナスの運用成績バックテストを行い、
- ガチホしていたらどうなるのか
- 積み立ててきたらどうなるのか
を検証します。
ITバブルの崩壊もリーマンショックももちろん含まれます。
チャートは一部でYahoo Financeを使用している他は全てPortfolio Visualizerを用いています。
- 投資家・個人事業主・医学博士
- 投資歴15年 (学生時代から)
- レバナス/USA360/3倍ETFをメインに積立中
- 地銀→野村證券→ネット証券
- FIRE済み:好きで働いてます
UOPIXとは
正式名称は『ProFunds UltraNASDAQ-100 Fund Investor Class』と言います。
米国の運用会社であるProFunds社が1997年12月1日に設定したオープンエンド型ファンド(投資信託)です。
オープンエンド型ファンドとは、ファンドの受益証券(もしくは、投資口)について、発行者が、投資家の要求に従って、原則として、いつでも1口あたりの純資産額で換金に応じることを保証した投資信託のことです。
投信資料館『オープンエンド型ファンド』より
日本で設定されている投資信託の多くは、このオープンエンド型ファンドです。したがって、必要に応じて、投資家は、販売会社を通じ、一部または全部の換金を求めることができます。
ただし、ファンドによっては、一定の間は解約ができない「クローズド期間」を定めているものもあり、この場合、その期間内は原則として換金できないことには、注意が必要です。
NASDAQ100に連動しつつ、レバレッジは日々の値動きの2倍に設定されています。
つまり、米国に存在するレバナスそのものです。
その運用成績をQLDと比較してみると、以下の通りです。
QLDは設定が2006年なので、ITバブル崩壊のタイミングまで遡ることが出来ません。
皆さんがしばしば見せられるのはこのような期間が多いのではないでしょうか。
QLDが若干UOPIXを上回る成績になっており、またQLD/UOPIX共に元指数であるQQQ(NASDAQ100)を大きく上回っています。
ただしリーマンショックでの落ち込みはレバレッジ2倍のQLD/UOPIXは凄まじいですね。
このチャートからも分かる通り、QLDとUOPIXは経費率が異なる以外は基本的に同様の運用を行う商品で、チャートの形状は一致します。
ではこのUOPIXのデータを使って、ITバブル崩壊以前まで遡ってシミュレーションしてみましょう。
レバナスのガチホ|25年間のシミュレーション
UOPIXが設定された1997年から2022年までの長期に渡って、一括購入してひたすらホールドし続けた場合のチャートは以下の通りです(チャートは1997.12.31〜2022.2.28)。
上段のチャートは縦軸がLinear表示で、下段のチャートは対数表示になっています。
ITバブルでの上昇は凄まじいものがありますが、その崩壊による下落もとんでもなく大きいことが分かります。
2017年末に10,000ドルでスタートした資産総額は2000年のITバブルの頂点では100,000ドルを突破し、わずか2年余りで10倍以上に膨れ上がりました。
ところが一転して、ITバブルの崩壊後は3年も経たないうちに2,000ドル以下まで急降下、1年余りで98%もの下落となりました。
これほどの乱高下の中、ホールドをし続けられる人がどれだけいるのか分かりません。。。
ただ、ひたすらに耐え忍んで2021年3月末を迎えると、ついにITバブルの頂点で付けた最高値を上回ります。
2021年末にはさらにその1.5倍程度と、大きな値上がりを見せます。
なお、Linear表示で直近の値動きが大きく見える現象は他の記事で詳しく解説していますので、以下を参照されて下さい。
レバナスの積立|25年間のシミュレーション
次に、一括購入からのホールドではなく毎月コンスタントに積立を継続していた場合を見てみましょう。
ITバブル崩壊とリーマンショックを含む期間の積立結果は以下の通りです。
先ほどと同様に上段はLinear表示、下段は対数表示です。
それぞれ赤いラインは元本(現金=CASHX)を示しています。
2000年12月から2007年11月末までの期間は、積立を続けながらも元本割れ状態が継続しています。
そして元本に追いついたのも束の間、リーマンショックで再び元本割れ期間に突入します。
次に元本割れが解消したのは2011年1月になり、元本を安定して上回るようになったのは2021年1月以降です。
一括購入の場合には1997年末の価額に戻るのが2013年後半になってしまったことを考えると、元本割れ期間が著しく減少しているのが分かります。
だとしても、二度の大暴落の中で将来の上昇を確信して積み立て続けられた人は多くは無いと思います。
次は更に最悪のタイミング、『ITバブルの頂点から投資を始めた場合』について見てみましょう。
ITバブルの頂点からのシミュレーション
恐らく現存するNASDAQ100関連投資の中で最悪の事態を想定したシミュレーションです。
歴史的な大失敗と言わざるを得ないタイミングでの投資結果を見てみましょう。
『ITバブルの頂点で一括購入した場合』のチャートと『ITバブルの頂点から積み立てを開始した場合』は以下の通りです。
ITバブルの頂点で一括購入した場合は、それから25年近くが経過した2022年2月末時点でも含み損の状態です。
レバレッジのかかった暴落は凄まじく、ITバブル崩壊以降は地を這うようなチャートがしばらく続きます。
しかしやはり積み立てを行った場合のチャートはかなり “マシ” で、2007年には含み益が発生、2011年以降は安定して含み益が出ています。
ITバブルの崩壊から回復しないままに襲ってきたリーマンショックをも乗り越え、そこから2年もしない内に元本を超えたことが分かります。
一括と積立の差は一目瞭然、天と地の差ですね。
架空のチャートでシミュレーションした記事でも積み立てを強く推奨した通り、暴落リスクを考えるなら積立一択と言って良いでしょう。
また、特筆すべきはそうして上昇してきたレバナスにとって、コロナショックやロシア・ウクライナ危機での下落など誤差程度であるということです。
積立の対数チャートではこれらの暴落はちょっとした凹みに過ぎません。
長期的に積み立ててきた資産を多少は削られるかもしれませんが、大事には至らないことが分かると思います。
終わりに|レバナスの長期シミュレーション
UOPIX(NASDAQ100 レバレッジ2倍 投資信託)の運用成績を元にレバナスの長期投資シミュレーションを紹介しました。
大和レバナスは2018年、楽天レバナスは2021年、QLDは2006年設定である一方、UOPIXは1997年に設定されました。
従ってUOPIXはレバナスが経験していないITバブルの崩壊やリーマンショックなどを含む期間にも運用されていたため、『もしもその時代にレバナスがあったら』を知るための貴重な情報源となります。
もちろんNASDAQ100の値動きデータから自力でシミュレーションデータを作成することも可能ですが、そもそもレバナスは正確に毎日2倍になる訳でもなく、信託報酬も引かれるなど完全な再現は不可能に近いと言えます。
UOPIXなら手計算する必要が全く無い上に、レバナスよりもやや高い経費率であることから、少なくとも信託報酬の観点ではレバナスを過大評価する心配も要らないでしょう。
無料で使える多くのオンラインツールでその値動きを確認することが出来ますので、過去の様々なシーンでのレバナスの挙動を知りたくなったら是非、UOPIXを使ってみて下さい。
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