レバレッジを使って効率的に資産形成を進めるアクティブな方は、当サイトでも紹介しているレバナスやSOXLなどの商品はチェック済みだと思います。
しかしヘルスケアセクターに特化したETFというのはあまり馴染みがなく、しかもそこに3倍のレバレッジというETFはそれほどメジャーとは言えないようです。
ただ、同セクターは拡大を続ける医療費に伴い、上昇を続けています。
3倍レバレッジをかけるなら、実はS&P500よりもいくつかの側面で高いパフォーマンスだったりします(2012年以降の10年の運用成績や最大下落率の面でCUREの方が優れています)。
そこでこの記事では、米国ヘルスケアセクターに3倍のレバレッジをかけたETF『CURE』を取り上げ、過去の成績や積み立てシミュレーションなどを紹介します。
GAFAMほどでは無いにしても、米国企業を代表するような大型銘柄も多数存在しています。
是非投資の参考にして頂ければと思います。
- 投資家・個人事業主・医学博士
- 投資歴15年 (学生時代から)
- レバナス/USA360/3倍ETFをメインに積立中
- 地銀→野村證券→ネット証券
- FIRE済み:好きで働いてます
3倍レバレッジETF『CURE』とは
CURE:Direxion Daily Healthcare Bull 3x Sharesは、Direxion Shares ETF Trustが運用するレバレッジETFシリーズの一つです。
ヘルスケア・セレクト・セクター指数の3倍の値動き(1日あたり)になるように運用されています。
レバレッジ無しの場合はXLVに相当します。
ヘルスケア・セレクト・セクター指数は、ヘルスケア機器・用品、ヘルスケア・プロバイダー/ヘルスケア・サービス、ヘルスケア・テクノロジー、バイオテクノロジー、医薬品、ライフサイエンス・ツール/サービスの業種に属する企業から構成されます。
STATE STREET『XLV』より
構成比率Top10は以下の通りです。
構成銘柄 | 構成比率 | |
---|---|---|
1 | Unitedhealth Group | 8.82% |
2 | Johnson&Johnson | 8.40% |
3 | Pfizer | 6.18% |
4 | Thermo Fisher Scientific | 4.90% |
5 | Abbott Labs | 4.64% |
6 | Abbvie | 4.46% |
7 | Lilly | 4.09% |
8 | Danaher | 3.90% |
9 | Merck & Co Inc | 3.61% |
10 | Medtronic Plc | 2.60% |
私は職業柄いずれの企業とも良く知っていますが、社名だけ見ても馴染みが無い方がほとんどでは無いでしょうか。
2位のジョンソンエンドジョンソンはスキンケア商品を利用されている方も知るかもしれませんし、高配当株としても名高い(59年連続で増配中)ので投資家の間でも有名だと思います。
3位のファイザーは新型コロナワクチンで社名が出るようになり、目にする機会も増えたかもしれません。
しかし、それ以外の企業は『S&P500のうちのヘルスケアセクター銘柄』くらいの認識の方が多いのでは無いでしょうか。
ヘルスケアセクターと言っても上記の通り製薬企業ばかりではないですし、日本ではお世話になる機会がほぼ無い(医薬品医療機器などではお世話になっていても気付かない)ような企業が多いので無理はありません。
個別に知らなくても、インデックス投資の場合にはさほど問題になりませんので構わないと思いますが、業界としてどのように発展してきているのかは投資をする前に知っておくべきでしょう。
ここから先は、実際の運用成績を見ていきます。
CUREの成績:バックテスト
CUREは2011年6月15日に設定されました。
2011年末から2022年3月末までのチャートを確認してみます。
以下の4つの3倍レバレッジETFで比較しました(全てDirexion社の商品です)。
- CURE:Direxion Daily Healthcare Bull 3x Shares(ヘルスケア)
- SOXL:Direxion Daily Semiconductor Bull 3X Shares(半導体)
- TECL:Direxion Daily Technology Bull 3X Shares ETF(テクノロジー)
- SPXL:Direxion Daily S&P 500 Bull 3X Shares(S&P500)
およそ10年間の推移ですが、トータルの運用成績は、
SOXL>TECL>CURE>SPXL
でした。
S&P500の3倍レバレッジよりも成績が良いことは予想外だったかもしれません。
情報技術セクターに比べれば値動きは緩やかで、レバレッジをかけるほどのインデックスでは無いのではないかという意見もあると思いますが、SPXLより長期的に好成績ならば一考の価値はあるかもしれません。
そもそもS&P500にレバレッジをかけることに懐疑的な場合は別ですが。
ただし、CUREの挙動として注目すべき点が2点あります。
- 2013年から2016年まではその他3種類のレバレッジETFをアウトパフォームしていること
- 最大下落幅(Max Drawdown)が最も低く抑えられていること
決してパフォーマンスが“悪い”インデックスではありませんので、長期的に見ればしっかり右肩上がりになっています。
また値動きが比較的小さなセクターですので、3倍ものレバレッジをかけても最大下落幅は−45.74%(2020年1月から3月のコロナショック時)です。
SOXLやSPXLは60%以上の下落を経験していますので、それらに比べれば“相対的に”安心してホールド出来るのでは無いでしょうか。
警戒するべき3倍レバレッジETFは以下の記事にまとめていますので、気になる方はご参考までに。
CUREはどこで買える?積み立てたらどうなる?
米国株取引が出来る証券会社の中でも、CUREの取り扱いのある証券会社は限られています。
2021年末から楽天証券ではポイント投資の対象にもなるなど、敷居が大分下がったと思いますのでオススメです。
その他、SBI証券やマネックス証券などでも取り扱いがありますので、口座をお持ちの方はチェックしてみてください。
先ほど確認したチャートは価格の推移を示したものです。
同期間、積立投資を行っていたらどのように資産形成が出来たでしょうか。
そのシミュレーションは以下の通りです(毎月100ドルの積立投資)。
価格推移チャートと大きく印象は変わりませんが、積立の場合には順位が入れ替わります。
SOXL>TECL>SPXL>CURE
値動きの僅かな差でも、積立の場合には資産推移に影響が出ますので、僅差ではありますがCUREが最下位という結果になりました。
それでも毎月積み立てた元本はこのグラフでは$12,400ですから、資産は大きく増えています。
また2016年まではCUREの成績が最も良好ですので、長い目で見れば今後もCUREが好調となる時期も来るかもしれません。
もちろん、その反対にボロ負けする可能性もゼロではありませんが。。。
まとめ
3倍レバレッジETFの中でもマイナーな商品『CURE』を紹介しました。
SPXL(S&P500の3倍レバレッジETF)と遜色のない運用成績で、かつ値動きが比較的穏やかなインデックスですので、狼狽売りのリスクはここで紹介したその他の3倍レバレッジETFに比べれば低いと言えるでしょう。
リスク許容度や関心のあるセクターかどうかを勘案して、投資するかどうかを考えてみましょう。
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