日本でも米国ETFの売買環境が整い、2021年12月には楽天証券でも自動積立やポイント投資が可能になるなど、ますますハードルが下がって来ました。
2023年現在ではTQQQさえも楽天証券で買えるようになっています。
投資信託では出来なかった3倍レバレッジの長期投資も可能になり、20代〜40代を中心に注目を集めているようです。
しかし、特に投資初心者が『3倍レバレッジで話題の商品だから』と飛びつくと痛い目を見ます。
そこでこの記事では、中でもオススメ出来ないレバレッジETFを6つ取り上げ、オススメ出来るレバレッジETFと何が違うのかを解説します。
- 投資家・個人事業主・医学博士
- 投資歴15年 (学生時代から)
- レバナス/USA360/3倍ETFをメインに積立中
- 地銀→野村證券→ネット証券
- FIRE済み:好きで働いてます
人気?の3倍レバレッジETF
仮想通貨が脚光を浴び、ビットコインやイーサリアムにつられて上昇したアルトコイン達のようなETFも沢山あります。
TQQQやSPXLなどと比べて知名度がやや落ちる、馴染みのないインデックスに連動するレバレッジETF。
見つけても手を出す前に立ち止まって、良く考えた方がいいETF6つを紹介します。
TQQQとの比較は後で示しますが、まずはその6つを簡単に説明します。
YINN(中国)
FTSEチャイナ50指数の300%のパフォーマンスを目指して運用されます。
FTSEチャイナ50指数とは:
上海証券取引所と深セン証券取引所に上場するA株の中で、規模が大きい上位50銘柄で構成される株価指数です。
LABU(バイオ)
S&Pバイオテクノロジーセレクトインダストリー指数の300%のパフォーマンスを目指して運用されます。
S&Pバイオテクノロジーセレクトインダストリー指数とは:
2006年から算出されている、小型株から大型株までを広くカバーするバイオテクノロジーインデックスです。
FAS(金融)
ラッセル1000金融サービス株インデックスの300%のパフォーマンスを目指して運用されます。
ラッセル1000金融サービス株インデックスとは:
ラッセル1000(ラッセル・インベストメント社が公表する代表的な指数の一つで、米国市場の時価総額上位3000社で構成されるラッセル3000のうち、時価総額などを基準に上位約1000銘柄で構成される株価指数)における、金融サービス・セクターに分類される銘柄のパフォ ーマンスを測るインデックスです。
要するに、金融関連の大型株です。
TNA(小型株)
ラッセル2000インデックスの300%のパフォーマンスを目指して運用されます。
ラッセル2000とは:
ラッセル・インベストメント社が公表している代表的な指数の一つで、米国市場の時価総額上位3000社で構成されるラッセル3000のうち、時価総額上位1000社を除いた時価総額1001位から3000位の2000銘柄で構成される株価指数です。
DRN(REIT/不動産)
MSCI米国REIT指数の300%のパフォーマンスを目指して運用されます。
MSCI米国REIT指数とは:
MSCI社が公表する米国不動産指数で、 米国REIT市場全体の時価総額の80%以上をカバーするインデックスです。
EDC(新興国)
MSCIエマージングマーケット指数の300%のパフォーマンスを目指して運用されます。
MSCIエマージングマーケット指数
MSCI社が公表する株価指数で、世界の新興国株式の全投資収益を各市場の時価総額比率で加重平均して指数化したものです。
6つのレバレッジETFとTQQQを比べて見る
世界経済の成長と共に右肩上がりになる典型的な米国株式市場の値動きを踏襲しつつ、3倍のレバレッジをかけた爆上がりETFの一つです。
TQQQと比較するのは可哀想な気もしたのですが、心を鬼にして並べてみました。
先ずは定番のLog表示のグラフです。
傾きが成長を表すからです。
意味がよく分からない方は、レバナスを例にとって説明した記事がありますので参考にしてください。
見ての通りTQQQは右肩上がりになっている一方で、その他の6つのETFは横ばいあるいは右肩下がりのものさえあります。
レバレッジ3倍にも関わらず、です。
いや、だからこそかもしれません。
よく見るLinear表示のグラフ(%表示)でも見てみましょう、その差がさらに強調されます。
圧倒的な差ですね。
ここまで差が付いてしまうと、、、この6つのETFに投資する意味ってあるの?
無いとは言いませんが、黙ってひたすら積み立て、という手法はオススメ出来ません。
例えばTNAとその元指数であるラッセル2000(小型株)とを比較してみると以下のようになります。
TNA設定時点から10年以上に渡って、概ねTNAが上回る成績を出しています。
確かに、ずっとホールドしていた場合には2020年のコロナショックでラッセル2000を下回る場面があるものの、その後の回復局面では3倍レバレッジらしく大きな上昇に転じています。
小型株に投資をしておきたい、というこだわりがあるのであればTNAにポートフォリオの一部を割くことは十分にアリな選択肢になるでしょう。
この6つのETFが振るわないワケ
ここまで見てきたように、元指数に比べれば上昇局面で強いのは『3倍レバレッジ』ですから当たり前の話です。
しかし、如何せん連動する元指数が振るわないためにそのパフォーマンスはTQQQ/NASDAQ100に遠く及ばない結果になってしまっています。
TQQQに比肩するレベルのパフォーマンスを上げる3倍レバレッジETFは他にもある中、この記事で取り上げた6つのETFはなぜイマイチなのでしょうか。
もちろん、過去の成績がそのまま将来性を決めるものではありませんが、傾向として重要な意味を持ちますので以下にまとめました。
- YINN(中国):中国A株の成長は国家レベルでの統制下にあるため、現状が変わらなければ自由に発展出来ない。
- LABU(バイオ):バイオ開発では業界が足並み揃えて一斉に進歩することは無い(私は業界人なのでよく分かります)
- FAS(金融):産業の成長を支える業種であり、成長そのものの恩恵は軽微
- TNA(小型株):有望な小型株は大型化するか買収される
- DRN(不動産):不動産の値上がりや利回りが経済成長を上回るほどでは無い
- EDC(新興国):かつて流行ったBRICs然り、中国然り
投資家としての私見ですが、この中で唯一、不動産だけはREITとしてではなく直で投資するとパフォーマンスは上がります。
ただそれは、融資を受けるという大きなレバレッジを活用することと、物件選定眼が備わっていることが条件です。ある程度の時間や手間を惜しんではダメです。
終わりに:レバレッジETFの活用
率直に言って、ここで挙げたような搦め手を使う必要はなく、王道を攻めれば良いと思います。
TQQQ、SOXLやTECLなどは2023年現在は楽天証券で売買可能です。
3倍レバレッジETFのようなリスク商品をポートフォリオに入れるのであれば、それ相応のリターンを求めてのことでしょうから、わざわざ逓減リスクが強調されるような軟調なインデックスを狙う必要は無いと思います。
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