テクノロジー分野に集中投資を行える3倍レバレッジETF『TECL』。
上昇局面のすごさが目立ち、興味を持つ投資家・投資初心者も多いようです。
この記事では、TECLで長期投資を行うことに対する暴落への懸念や将来性についても紹介し、長期的な視点で投資すべきかを解説します。
結論:
- TECLはNASDAQ100に近いパフォーマンスを持ち、将来有望なので長期投資はアリ。
- ただし暴落に備えてポートフォリオの一部とし、積立を推奨
- 投資家・個人事業主・医学博士
- 投資歴15年 (学生時代から)
- レバナス/USA360/3倍ETFをメインに積立中
- 地銀→野村證券→ネット証券
- FIRE済み:好きで働いてます
TECLは情報技術テクノロジー3倍レバレッジETF
TECLは正式名称『Direxion Daily Technology Bull 3X Shares ETF』、Direxion Investments社が運用する3倍レバレッジ米国ETFシリーズの一つです。
そもそもETFのことが良く分からない方は以下の記事を参考にして下さい、ここでの詳細な説明は割愛します。
GAFAMのうちAppleとMicrosoftを含みますが、その比率は両者を足しても8.5%です(2022年3月現在)。
SOXLでもお馴染みのDreyfus Government Cash Management社を始め、ゴールドマンサックスやVISA、マスターカードなど、情報技術テクノロジーといっても幅広い銘柄に分散投資されています。
上位10銘柄とその比率は以下の通りです。
銘柄(Top10) | ファンドの割合 (%) |
---|---|
Dreyfus Government Cash Management | 6.33 |
Apple | 4.39 |
Microsoft | 4.11 |
Dreyfus Treasury Securities Cash Management | 3.36 |
ゴールドマンサックス | 2.09 |
NVIDIA | 0.90 |
VISA | 0.67 |
MasterCard | 0.56 |
ブロードコム | 0.47 |
シスコシステムズ | 0.43 |
一見すると、NASDAQ100のようにGAFAMの凄まじい躍進に引っ張られて大きく上昇するような様子は感じないかもしれません。
TECLはあくまでも3倍のレバレッジが効いているだけで、NASDAQ100ほどのポテンシャルは無いのでは?
その考えが正しいかどうか、確認してみましょう。
TECLの運用成績
TECLは2008年12月17日に設定されました。
それ以来のチャートは以下の通りで、右肩上がりを続けています。
一定割合で上昇するチャートは縦軸を対数表示にすることでその成長スピードを確認出来ますので、2パターンのチャートを載せています。
TECL設定来のチャート(右は対数グラフ)
2017年ぐらいからの上昇が凄いように見えますが、対数グラフを見ると明らかなように一定ペースで上昇し続けています。
もし同じペースで上昇を続けるなら、2030年頃には“Linear表示で2020年以降の急上昇に見える部分”も平たく表示されるようになることでしょう。
2008年から2017年部分を切り取った場合のように。
では次に、この上昇ペースがNASDAQ100と比べてどうなのか?を見てみましょう。
TECLは3倍レバレッジETFですので、NASDAQ100も同じ条件にするためにTQQQ(3倍レバレッジNASDAQ100)との比較を行ってみます。
結果は以下の通りです。
Linear表示でTQQQの方が上がっているように見えるのは、縦軸が%表記でTQQQ設定日時点での価額がTECLの方が高かったための差です。
結論として、TECLはTQQQと互角と言えます。
10年スパンで見てNASDAQ100と互角ということは、なかなかに優れたインデックスと言えるのでは無いでしょうか。
こういう話をすると、この期間には大暴落が無いからだという指摘をする人がいますが、ここではそういう話をしているのではありません。
ただ単にTQQQとTECLとを比較しているだけです。
そもそもITバブル崩壊のような暴落がいつ来るか予想出来ないので、積立をするしかないんですけどね。
次はTECLの良いところと悪いところを見てみましょう。
TECL長期投資のメリットとデメリット
メリットとデメリットとして、以下のことを知っておかなければなりません。
メリット
- 上昇局面では大きな利益の享受が可能
- 自動積立が可能
- 大手ネット証券会社で取引可能
- 償還期限が設定されていない
何より大きな値上がり利益を狙える点が最大の魅力と言えるでしょう。
また長期に渡って積立を行う上で欠かせないのが自動積立設定で、2021年12月からは楽天証券でも可能になったので楽天経済圏の利用者には嬉しいニュースです。
また長期投資に欠かせない条件である『償還期限の定めがないこと』は、3倍レバレッジ投資信託には無い利点です。
大和レバナスも楽天レバナスも、少額からの積立OK
SOXL、TECLなどのETFも積立・ポイント投資が可能に(2021.12〜)
楽天カードでの投資ならポイントも貯まり、ポイント投資でSPU+1%upも!
デメリット
- 暴落のダメージが大きい
- 逓減リスクが大きい
- 自動再投資不可
- 経費率が高め (0.95%)
値動きに関するデメリットはメリットと表裏一体ですので、個々にリスク許容度を考えるしかありません。
自動再投資はETFでは手動で行うしかありません。
投資信託と異なる残念なポイントですが、償還期限の定めのない3倍レバレッジ投資信託が無いことを考えると、複利効果を得るためにこの点は手動で対応することも許容出来るかなと思います。
経費率はETFにしては高めで、大和レバナス(0.99%)と楽天レバナス(0.77%)の間です。
しかしこれも3倍のレバレッジを考えると致し方ないレベルかなと思います。
長期投資を行うことの是非
メリットとデメリットを勘案した上で、では長期投資を行うことをどのように考えれば良いでしょうか。
投資は自己責任ですから、結局はそのリスクを許容出来るかの個人の判断によります。
しかしそれでは参考にならないと思いますので、私の個人的な見解を書いておきます。
値動きが大きく、特に3倍レバレッジでの暴落は取り返しのつかないほどの下落を来たし兼ねません。
一括投資の直後にそんなイベントに襲われたら、二度と立ち直れない可能性もあります。
レバレッジ2倍でさえ一括より積立が推奨されますので、3倍ならなおさらです。
また、これも個人のリスク許容度によりますが、全力投球は避けるべきだと思います。
確かにTECL自体が分散投資を可能にするETFではあるものの、単純にその高いレバレッジのせいで大きな暴落時のダメージが増幅されるという点から、これ1点に絞るべきでは無いと思います。
この点もレバナスを例に説明した記事がありますので参考にされて下さい。
3倍レバレッジで、TQQQ並みのパフォーマンスは非常に魅力的ではありますが、レバナスと併用するのであればGAFAMの被りが全く無いSOXLの方が良いかもしれません。
TECLとSOXLの運用成績もほとんど同等ですので。
所々、傾きがSOXLの方が大きいので、値動きはSOXLの方が更に大きい様子が分かります。
TECLの長期投資:まとめ
TECLの構成銘柄を知り、過去の運用成績とNASDAQ100(3倍レバレッジ:TQQQ)との相対的なパフォーマンス比較を見て、改めてメリットとデメリットを整理しました。
その上で、私の私見(ポートフォリオの一部で長期積立)をお伝えしました。
それらを頭に入れた上で、総合的にポートフォリオにどれだけ加えるか、是非考えてみて下さい。
上がる時は少額からでも大きな利益を生み、下がる時は大きな資産があっという間に消えます。
そうであれば、ポートフォリオに小さく加えて積立を行なっていくのが良いように思います。
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