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体験録:閃輝暗点〜じわじわ視界に広がり点滅するノコギリ

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目次

はじめに

この記事は私の体験を元に執筆しています。

関連する症状があっても自己判断はせず、本稿は参考にするに留めて医療機関を受診するようにして下さい。

閃輝暗点は、小説歯車』(芥川龍之介)で有名な疾患です。

と言われても、経験者で無ければピンと来ないですよね。

これは突然やってくる症状で、初めは何となく視界に違和感を感じる程度から始まります。

しばらく、数分のうちにその違和感の元には点滅する何かが見え始めます。

それは視界の中央である場合もあれば、端の方の場合もあります。

そして徐々にその点滅部分が大きく広がってきますが、その形がノコギリのような、歯車のようなギザギザした不定形をしているので、芥川龍之介は歯車と表現したようです。

閃輝暗点と頭痛

これは目を瞑っていても消えません。

私の場合は、そのギザギザに若干色が付いているように見える気がします。

特定の色ではなく、様々な色が入り乱れているようなイメージです。

筆者の経験

頭痛に悩む様子

症状

視界にギザギザの点滅が現れる以外に、その時点では大きな症状は現れません。

何となく視界が見えずらいので、車の運転は危険が伴うかもしれませんし、PCで作業しようとしたり本を読んだりしようとしても良く見えない場合があります。

Y-bow

しかし、言ってみればその程度ですので、この段階で苦痛は特にありません。

ところが、問題はその後です。

何だか頭がぼ〜っとしてきたり、頭痛が現れ始めます。

実はこれがポイントで、人により頭が割れるほど激しい頭痛と吐き気に襲われる場合があるのです。

私の場合は毎回ぼ〜っとして頭が重く、軽い頭痛が来るだけで済んでいるのですが、酷い場合は本当に酷いようです。

このギザギザの点滅と頭痛との関連は知らないと紐づけられない場合も多く、しばしば『目がおかしい』と感じてしまう場合があるようですが、閃輝暗点の場合は目は問題無いとされます。

私の経験では、疲労が溜まった時や脱水気味の時などに起きやすい気がします。

実際、そのような時にふっと気が抜けた時など、血管が拡張したタイミングに起こるとも言われています。

閃輝暗点の後に頭痛が怒らない場合には、稀に脳梗塞や脳の循環障害が隠れている場合もあるようですので、受診して適切な検査や処置をして頂きましょう(MRI検査などを受ける場合があります)。

メカニズム

脳のイメージ

実は目がおかしいのではなく、脳の異常です。

異常といっても機能的に何か問題が発生しているということではなく、視覚を司る部位の一過性の虚血(血流の悪化)が原因と考えられています。

一過性のものですので、血流の回復に伴いその症状も治まります。

ただ稀に、器質的(一過性ではない)な変化が原因となっている場合もあるようです。

目ではなく脳が起こしている症状ですので、片目ではなく両目で見えます。

Y-bow

片目づつ確認してみて、もし片方の目でしか見えないのであれば別の病気が考えられますので気をつけて下さい。

と、断定的な表現を避けて説明している理由は、実は病態が完全に解明されておらず、まだ不明な点もあるためです。

治療方法

とても気になる部分だと思いますが、残念ながらありません

なかなか本人は苦しいものですが、即座に命に関わらない症状であることと、対象が脳でその詳しいメカニズムが明らかでないこともあり、積極的な研究開発が行われていないのが現状です。

一般には頭痛の前兆現象として扱われることが多く、この閃輝暗点が始まったら出来るだけゆっくり休める環境に身を置くことが大事だと思います。

頭痛や吐き気が来るパターンの方は“また来たか”と憂鬱な気分になってしまうかもしれませんが、医学的には命に別状のないことも分かっていますので、やり過ごしましょう

ただし、繰り返しますが自己判断は危険です。必ず医師の診断を受け、閃輝暗点なのかどうかははきりさせておくようにして下さい。

予防方法

閃輝暗点は偏頭痛の前兆現象でもありますから、その予防が出来れば偏頭痛の予防にも繋がりますのでぜひ実践したいところです。

しかし上記のメカニズムからも明らかな通り、明確な医学的予防方法は確立されていないと言えます。

一般に、生活習慣を整え、ストレスを溜めないように気をつけることが重要とされます。

慢性頭痛診療ガイドラインを根拠としてマグネシウムとビタミンB2による予防効果に言及される場合もあります(静岡県薬剤師会)。

普段からバランスの良い食事を心がけ、十分な睡眠・休養を摂ることが肝要です。

そう言うと皆さん口を揃えて“そんな事は分かっている”と、、、私もそんな一人ですが、しかし体が悲鳴を上げていることに気付かない、或いは無視してしまっているのが現代人の良くない所です。

この体験録シリーズを通して、私自身も今一度体の声に耳を傾けようと思います。

ぜひ、体を大事にしてあげて下さい。

替えは効きませんので、少なくとも2022年現在は。

終わりに

冒頭で紹介した小説『歯車』は、この疾患に悩まされた芥川龍之介の視点で描かれています。

まさに文豪と共感出来る一面でもありますので、読書家の方のみならず是非一度読んで見られると良いと思います。

そしてそれを機に、本を読むと言うことが人生に与える影響が小さくないことも意識して頂けると良いと思います。

読書量と年収とは実は驚くほどに相関していることが分かっています(年収と読書量の相関:人生が変わる読むべき5冊と順番)。

収入アップのために読む、と言うことでなくても良いですので、先ずは日頃から本に触れることから始めてみましょう。

今は電子書籍が浸透してきていますので、嵩張る本棚も重く分厚い本も、手軽に手に取れる時代ですから。


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