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はじめに
病気体験記シリーズは、筆者が体験した様々な疾患に関する情報発信コンテンツです。
参考にして頂く前に大前提として、不調を感じた時には自己判断をせずに、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
本稿では、目が痛くて涙が止まらない角膜びらんについて紹介します。
今でも時折再発し数日間に渡って痛みが続くこともありますが、上手く付き合うことが出来ています。
同じ診断を受けた方の参考に、少しでも理解の助けになり不安が払拭されることを願います。
この記事のターゲット
- (再発性)角膜びらんと診断された人
- 角膜びらんのことを良く知りたい人
- 突然の目の痛みと涙が止まらなくなったことがある人
角膜びらんとは
疾患についての詳細は以下のサイトが参考になります。
本稿では私の経験をもとに、発症から執筆時点までのおよそ20年間の経過を記します。
発症
ある日突然でした。
朝起きると右目が開かず、もの凄い痛みが襲ってくると共に大量の涙が溢れ、どうしようもない事態に陥ったのです。
初めての経験でしたので、目に何か異物が入ったのではないかと思いました。
私は当時も今も裸眼で生活しており、カラーコンタクトを含め目に何かを入れた経験は一切ありませんでしたので、いわゆるコンタクトを入れっぱなしで寝てしまったというような事態は想定されませんでした。
当時はまだ学生でしたが丁度日曜日でしたので通学の必要はなく、しばらく落ち着くまで待とうと思ったのを覚えています。
何しろ痛みで全く目を開けることが出来ず、止めどなく涙が溢れてきます。
涙が分泌されるときに聞こえる音(目の奥?耳の奥?で聞こえるゴロゴロというような音)だけが続いており、何かが入ってしまったのなら早く洗い流されて欲しいと願ったものです。
症状と眼科受診
しばらく待っても痛みは一向に治る気配がありませんでしたが、涙を流しながらも目を開けることに成功しました。
何かが入っているのであれば見てみようと思ったので、鏡で確認したところ、何物も見つけることは出来ませんでした。
ただ、症状のない左目で見る世界よりも痛みのある右目で見る世界は眩しく、感覚的には光量の調節が出来ていないように感じました。
謎のこの痛みを何とかしたいと眼科を調べましたがこの日は日曜日。
近所の眼科はどこもやっていなかったので、その日に受診可能な眼科を調べるととある大学病院がヒットしました。
とにかく早く診てもらいたいという一心で、大学病院なんて初めてのことでしたが早速向かうことにしました。
当直の若いドクター2名に担当して頂きました。
いかにも研修医という若手だったのをよく覚えています。
色々と調べはしたものの結局特に問題なさそうということで、殺菌用の目薬を渡されて眼帯を巻かれて帰宅することになりました。
取り敢えず大事では無さそう、ということで安心はしましたが、逆に痛みの原因がはっきりしない不安感もありました。
診断と治療
その後もまだ痛みは続き、結局翌日まで痛かったので大学は休んで近所の眼科に行くことにしました。
そこで細かく調べて頂いたところ、“再発性角膜びらん”と診断されました。
どうやら角膜という眼球の最も外側の膜に傷が付き、部分的に剥離してしまっているようなのです。
傷が着いた原因までは特定出来なかったものの、ひどい逆さまつ毛で、剥がれていない部分の角膜も傷だらけと言われました。
角膜のびらんは網膜剥離などと違って再生すれば治る症状です。
痛みと涙はキツかったですが、しばらく眼帯をしつつ目を大事にすることで解決を図ることになりました。
寝起きで特に涙の量が減っているときに角膜びらんの症状が起きやすいということで、翌朝から目覚めた後に目を開ける前に目薬をさすことになりました。
これが意外と難しくて、目が覚めたら目を開ける前に、という難易度の高さに驚きました。
起床したら普通はまず目を開けますから。
慣れるまではつい目を開けてしまったりしていました。
しかし数日すると徐々に目の痛み、違和感は引いてきて、やがて元どおりになりました。
結局、眼帯をしていたのは二日間だけでした。
経過と再発予防
一度治った後、しばらくは予防のために毎朝目薬を使っていましたが、やがて全く気にならなくなるといつしかその習慣も薄れ、もと通りの生活を送るようになっていました。
ところが、またしばらくしたある日、その突然の痛みと涙が襲ってきたのです。
目覚めた瞬間でした。
既に一度経験しているので、また角膜びらんかとすぐに気付きました。
目薬で対応はしましたが、初めて発症した時よりは幾分マイルドな症状で、確かに痛みはありますが何とか目を開けることは出来ていました。
そして数日かけて元に戻るという経過です。
以降、幾度となく同じ角膜びらんを繰り返すようになりました。
症状が起こり始めるのはいつも目覚めの時で、痛みと涙は数日で収まります。
ただし経験的に、この症状が起き始めると完全に治るまでの数日間、明らかに視力が落ちます。
症状のある右目は裸眼で視力が1.2〜1.5あるのですが、たまたま健康診断のタイミングにこの症状が出ていた時は0.6まで落ちたことがありました。
予防法は毎朝目を開ける前に目薬をさすことなのですが、今はその面倒くささと再発頻度、再発した時の痛みを天秤に掛け、『再発したら数日耐えればいい』という生活に落ち着いています。
私の目はまつ毛の長さや角度的に角膜に接触しやすいようですので、再発もし易いようです。
しかしもう20年の付き合いなので、れっきとした持病という感覚で特段QOLの低下を招くことなく生活できています。
ただ、健康診断の前には発症してくれるなよ、と願いつつ。
終わりに
目は人間が最も多くの情報を得る感覚器官です。
失明は考えるだけでも恐ろしいですが、目に何らかの異常を感じた時になってみないと健常者はなかなかその大切さに気付けないものです。
余談ですが、いかに優秀な薬であっても、治験でもし目に不可逆的な異常をきたすような副作用が認められた場合には承認は絶望的となります。
それほど視覚に対する安全性の考え方が厳しいのです。
ものが見えるということのありがたみを少しでも感じ、目を大切にする習慣(疲労を溜めない、目を擦らないなど)を身に付けられたら良いですね。
この再発性角膜びらんを通じて、私は目をより意識することが出来るようになったと感じています。
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