投資を始めようと考える人がかなり増えて来たように感じます。
事実、特に2020年のコロナショック後に証券口座の開設数は急増しています。
しかし、お金の教育を受けてこなかった日本人は、いざ始めようとしても何が何だかよく分からない、という悲しい現実が。。。
それでも正しく情報を集め、咀嚼出来た人はある程度の結論に達していると思います。
- 長期に積み立て投資すること
- インデックスに投資すること
- 米国株か全世界株に投資すること
- ネット証券で取引すること
- NISAやiDeCoを活用すること
などは実践しようと考えているのでは無いでしょうか。
この記事では、広く米国株式に分散投資が可能なETF『VTI』の利用を検討している方に向けて、そのままETFを購入するのか、投資信託として販売されている商品を購入するのか、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
中にはレバレッジを使って爆益を狙いたい、、、と考えている方もいるでしょう。
そういう方はレバナス関連の記事やレバレッジETF関連の記事をご覧下さい。
※VTIとは次元の違う運用になります。
- 投資家・個人事業主・医学博士
- 投資歴15年 (学生時代から)
- レバナス/USA360/3倍ETFをメインに積立中
- 地銀→野村證券→ネット証券
- FIRE済み:好きで働いてます
はじめに:VTIを投資信託で買うかETFで買うか
どちらでも基本的には長期積立投資は可能です。
両者の具体的な違いの詳細については以下の記事に詳しく説明していますので参考にされて下さい。
VTI(Vanguard Total Stock Market Index Fund ETF)はこの商品一つで広範に米国株に投資をすることが出来、その運用成績はS&P500とほとんど変わりません。
長期に積み立て投資を行うことで、十分にFIREを狙うことも可能でしょう。
VTIは当初、ETFを使った投資が主流でした。
NASDAQ100やS&P500と違って知名度もそれほど高くなく、日本ではあまりメジャーではありませんでした。
そんな中、2017年9月に楽天投信投資顧問がVTIに投資出来る投資信託を設定しました。
楽天・全米株式インデックス・ファンド (愛称:楽天・バンガード・ファンド(全米株式))
日本でも既に人気に火がついていた(遅)米国株への投資商品の中でも、極めて分散の効いた優良商品としてたちまち人気を博すことになりました。
それから遅れること4年弱、2021年6月にはSBIがSBI・Vシリーズと題する投資信託ラインナップにVTIを設定しました。
SBI-SBI・V・全米株式インデックス・ファンド (愛称:SBI・V・全米株式)
どちらも上場投資信託であるETFによる運用を信託するという構図で、それならETFを直接買えば良いと思う方もいるでしょう。
しかし投資信託であった方が便利な側面もありますので、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
ETFで買う場合
米国で上場しているVTIですが、日本でもETFとして直接売買することが出来ます。
利用者の多い楽天証券やSBI証券などが一般には良く利用されていると思います。
メリット
代表的なメリットは以下に挙げた3つです。
1. 経費率が僅かに低い
投資信託の経費率は以下の通りです。
- 楽天・全米株式インデックス・ファンド=0.162%
- SBI・V・全米株式インデックス・ファンド=0.0938%程度
一方、ETFであるVTIは以下の通りです。
- VTI=0.03%
いずれも相当な低水準で、一般には何も心配は要らないレベルです。
1%を超える信託報酬を設定されている投資信託も少なくない中で、極めて良心的と言えます。
その中でも一際低水準なのがVTIです。
VTIはS&P500に連動するETF(SPY:0.09%)や全世界株式に投資が可能なETF(VT:0.07%)と比べてもなお低い経費率で、運用コストが気になる方にはとても嬉しい内容です。
2. 指値注文が出来る
指定した価額での売買=指値注文が可能です(市場動向により希望通りに注文が通らない場合もあります)。
下落局面での買い増し時などは、狙った低額帯で購入するなどの戦略も取ることが出来ます。
3. 償還のリスクが極めて低い
投資信託では予め償還期限(運用を終える期日)が設定されている場合があります。
楽天・全米株式インデックス・ファンドとSBI-SBI・V・全米株式インデックス・ファンド (愛称:SBI・V・全米株式)では2022年3月現在は設定されていませんが、繰上げ償還の条件は明記されています。
例えば楽天・全米株式インデックス・ファンドの場合は以下の通りです
委託会社は、受益権の口数が10億口を下回ることとなったとき、または、この投資信託契約を解約することが受益者のため有利であると認めるとき、対象指数が改廃されたとき、この信託が実質的に投資対象とする上場投資信託証券が上場廃止となるとき、もしくはやむを得ない事情が発生したときは、受託会社と合意の上、この投資信託契約を解約し、信託を終了させることができます。
目論見書(2022.3時点)
とは言え、楽天・全米株式インデックス・ファンドは5,000億円以上の規模の資産総額で、投資対象がVTIということもありそうそう償還されることは無いとは思います。
一方でETFであるVTIは世界中の投資家が運用に利用していることもあり、資産総額は数十兆円規模です。
そしてそもそも償還という概念は無く、あるとすれば上場廃止です。
個別株ならいざ知らず、4,000社近い企業集団が一斉に共倒れするリスクは極めて低いと言えるでしょう。
デメリット
代表的なデメリットは以下に挙げた3つです。
1. 相対的に買える場所が少ない
投資信託は今や様々な金融機関で購入することが出来ます。
例えば楽天・全米株式インデックス・ファンドは“楽天”と名前が付いてはいますが、19の販売会社から購入することが出来ます(2022年3月現在)。
普段から馴染みのある証券会社や銀行で手軽に積み立てを始めることが出来ます。
一方でVTIは、『米国株取引が可能な証券会社』でなければ売買が出来ません。
少なくとも楽天証券とSBI証券で売買が可能なので不便というレベルのデメリットでは無いかもしれませんが、まだまだ馴染みの金融機関頼りの方も少なく無いようですので、この点を挙げておきました。
2. 配当金再投資が手動になる
長期積立投資において、複利効果を最大限に利用したいという考えの方も多いでしょう。
その場合に大事なポイントの一つに、配当金を受け取らずに再投資に回すというものがあります。
VTIでもそれ自体はもちろん可能ですが、証券会社が自動的に行なってくれるサービスは2022年3月現在はまだありません。
振り込まれた配当金でVTIを購入するというアクションを自分で行う必要があります。
3. 定額積み立てが出来ない(最低1株〜)
VTIは購入単位が1株からとなっています。
つまり、『毎月10,000円ずつ購入する』ということは出来ません。
毎月の定額積立設定はすることが出来ますが、その設定金額で購入可能な最大株数の買付に留まります。
今1株が5,000円だとしましょう。
毎月10,000円の積立設定であれば、今なら2株買うことが出来ます。
ところが、いざ購入の日になったら値上がりして5,100円になっていたとします。
その場合には毎月10,000円で設定したにも関わらず、5,100円しか購入することが出来ません。
積立設定金額が低ければ低いほどこの影響は大きくなります。
極端な話、毎月100万円ずつの積立設定なら、5,000円/株なら100万円(200株)、5,100円/株なら99万9,600円(196株)買えるので誤差範囲と言えるかもしれません。
投資信託で買う場合
日本人の、まだ少ない投資を行なっている方々もその多くはETFではなく投資信託で運用されているのでは無いかと思います。
馴染みも経験もより豊富な商品ですから、投資信託を使ってVTIに投資する場合についても良く知っておきましょう。
メリット
代表的なメリットは以下に挙げた3つです。
A. 100円からの少額投資が出来る
入金力がまだ少なく、取り敢えず経験を積む段階であればワンコイン投資も十分に意味があります。
クレジットカードのポイントでも良いですし、とにかく負担の少ない投資が可能なのが投資信託のメリットの一つです。
家計がカツカツで投資など出来ない、と嘆いている方でも100円ならなんとかなる場合がほとんどでしょう。
先ずは投資を始めるきっかけとして、考えやすいと思います。
B. 正確な定額積み立てが出来る
ETFのデメリットで言及した通り、VTIは1株単位でしか買えません。
しかし投資信託なら毎月の積立設定を10,000円と決めたら、確実に正確に10,000円を積み立てることが可能です。
端数は出ません。
正確なドルコスト平均法を活用するには投資信託の利用が必須と言えるでしょう。
C. 自動で配当金の再投資が出来る
ETFでは出来なかった配当金の再投資についても、投資信託なら完全自動で完了します。
積立金額の設定と合わせて、一度決めてしまえば後はメンテフリーで積み立てを続けることが出来ます。
ごちゃごちゃといじりたくない人にとっては嬉しいメリットです。
デメリット
強いて挙げるなら、この1点です。
A. 経費率が僅かに高い
ETFのメリットの裏返しですが、VTIが経費率0.03%なのに対して楽天は0.162%、SBIは0.0938%がコストとして掛かります。
この差を大きいと捉えるか誤差範囲と捉えるかは個人差があると思いますが、長期に運用する上では無視出来ない差として表れてくる可能性は十分にあります。
ただ、このコストのおかげで毎月正確な定額買付と配当金再投資を行なってくれると考えれば、許容範囲なのでは無いかと個人的には思います。
まとめ:一覧表
ETFにしかない良さのうち、VTIを使った初心者向けの積み立て投資には関係のない項目(商品ラインナップの広さ、リアルタイムでの売買やSOXLのようなハイレバレッジ商品群など)を除くと、以下の表のように整理出来ます。
あくまでもVTIに投資するという視点です。
比較項目 | 投資信託 | ETF |
---|---|---|
経費率 | 0.162% | 0.03% |
償還リスク | 低い | ほぼ無し |
指値注文 | × | ○ |
配当金自動再投資 | ○ | × |
購入可能場所 | 多 | 少 |
投資単位 | 100円 | 1株 |
NISA | 対象 | 対象外 |
以下のような方はETFの利用がおすすめです。
- 配当金は再投資せずにお小遣いとして消費する
- 毎月の入金力はそこそこある(10万円単位以上)
以下のような方には投資信託がおすすめです。
- 配当金は忘れずに再投資
- 毎月少額積み立て(〜数万円程度)
絶対的にどちらかが良い、ということは無いと思います。
自分の投資スタイルに合わせて、また知識レベルに合わせて活用していけば良いと思います。
初心者に向けて敢えて言うならば、迷ったら投資信託にしておきましょう。
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