単なる価額の推移=チャートを見るだけでは、株価やインデックスが上がったのか下がったのかは分かっても積み立てていた場合の資産がどうなっていたかが分からない。
長期的な積み立てのバックテスト(過去の実績)を知る良い方法は無いだろうか?
投資信託やETFの積み立てを始める方の中にはそのような悩みをお持ちの方もいるのでは無いでしょうか。
そこでこの記事では、長期的な積み立て投資のバックテストを簡単に実施出来る、誰でも無料で使えるオンラインツールを紹介します。
価額の推移を確認するだけであれば証券会社のHPでググっただけでも見つかりますが、積み立てについては知らないと意外と面倒です。
紹介するのは『Portfolio Visualizer』というサイトで、これを使えばレバナスの積み立てシミュレーションなども自分で簡単に行えるようになります。
- 投資家・個人事業主・医学博士
- 投資歴15年 (学生時代から)
- レバナス/USA360/3倍ETFをメインに積立中
- 地銀→野村證券→ネット証券
- FIRE済み:好きで働いてます
Portfolio Visualizerの使い方
Portfolio Visualizerは機能は大変便利なのですが、日本語に対応していません(2022年2月現在)。
全ての入力と操作は最低限の英語の意味がわからないと使えませんので、先ずはその解説から始めます。
と言っても、以下の画像を見ながら進めれば簡単ですので、ぜひ実際に使いながら見てみてください。
先ずはPortfolio Visualizerのトップページにアクセスし、以下の通り『Backtest Portfolio>>』をクリックします。
ご覧の通りこのサイトで検証出来る項目は多岐に渡りますが、本項では『積み立て/取り崩しの長期シミュレーション』に絞って解説します。
積み立てシミュレーション
定額積み立て(原則月末に積み立て)のシミュレーションを行うことが可能です。
『Backtest Portfolio Asset Allocation』の画面で、入力が可能な項目の意味は以下の通りです。
『Cashflows』の項目で『Contribute fixes amount』を選択すると、『Contribution amount(積み立て金額)』『Inflation adjusted(インフレ調整の有無)』『Contribution Frequency(積み立てペース:毎月/毎年)』が追加で現れます。
表示期間は1985年から指定可能ですが、選択したETFなどの運用開始がそれより後だった場合には自動的に修正されます。
なおレバレッジの設定も出来るようにはなっていますが、簡易的なもののため例えばQQQに2倍の設定を行ったとしてもQLDの成績に一致させることは今の所出来ないようです。
ベンチマークにはバンガードのS&P500とBalanced indexがデフォルトで選択出来ますが、特定のティッカーを指定することも出来ます(VTIやTQQQなどとすることも出来ます)。
この後は実際に積み立てシミュレーションをしたい銘柄を入力することになり、複数のチャートを表示する場合に備えて『Portfolio names』は『Custom』にしておくと見易いと思います。
続いて、個別に銘柄名を指定します。
自身で多数の銘柄を組み合わせてポートフォリオを作成したい場合には、無料版では最大25銘柄までを組み入れることが出来ます。
ただ個人的には、そこまでやるならインデックスに連動するETFで十分かなと思いますので、説明の便宜上ETFを例に挙げて解説します。
上の図は、QQQとQLD、そして現金(ティッカー:CASHX)を入力するところです。
ティッカーを入力すると予測変換の要領で選択出来ます。
ティッカーを知らないとそもそも入力出来ませんが、例えば以下のものが代表的なETFの例です。
- NASDAQ100:QQQ
- S&P500:VOO
- 全米株式:VTI
- 全世界株式:VT
※Vで始まるものはVanguard社のETF
また、積み立てシミュレーションの際には元本の表示をしたくなると思います。
その時は『CASHX』と入力しましょう。上の図の通りCashと入力すれば候補の中に出てきます。
次に右側のportfolioの比率を入力します。
例えばこの例でPortfolio 1には、QQQの行に100と入力しています。
一番下の行の『Total』にも100と表示されています。
これはつまりQQQだけを含むポートフォリオであることを示し、『QQQのシミュレーション』が出来ます。
※ QQQに50、CASHXに50と入力すれば、半分は現金のままという状況も再現出来ます。
QQQ、QLDの積み立てと元本の推移を見てみましょう。
黄色が現金(元本)、青がQQQ(NASDAQ100)、赤がQLD(≒レバナス)です。
QLDはレバナスと同様にNASDAQ100に2倍のレバレッジをかけた商品です。
チャートの下にある『Logarithmic scale』にチェックを入れると縦軸が対数目盛りになります。
- 中段の結果は各年毎の年間崩落率です。
- 下段の結果は各年毎の配当金/分配金です。
CASHXは米国政策金利を反映していますので全く増えない訳ではありませんが、銀行預金だと思えばOKです。
取り崩しシミュレーション
続いて取り崩しのシミュレーションを行ってみます。
積立の時と同じように条件を設定します。
例えば、毎年4%の取り崩しを考えるのであれば、以下のように設定します。
『Cashflows』を『Withdraw fixed percentage(定率取り崩し)』、『Withdrawal Frequency(取り崩しペース)』を『Annually(毎年)』にすればOKです。
結果は以下の通りです。
現金取り崩しは減る一方ですが、NASDAQ100に投資していれば取り崩しながらも資産が増えていくのが分かります。
積み立てと取り崩しの詳しいシミュレーション結果は以下の記事に詳しく解説しているので参考にされて下さい。
平均利回りによるシミュレーションとの違い
ここまで見てきたQQQ、QLDの運用成績は以下のように表示されます。
QQQの年間平均利回りは15.94%と分かります。
この利回りで毎年運用を続けて行けば、上記のシミュレーションと最終的には同じ資産額になります。
しかし見ての通り実際のチャートは一定比率で上昇していくものではなく、上下を繰り返しながら結果として全体的に右肩上がりになっています。
そのため、平均利回りに囚われ過ぎると、『あれ?もっと増えてるはずなんだけどな?』ということになってしまう場合があります。
シミュレーションを行う時にはその思い込みは時として危険な錯覚となります。
バックテスト/皮算用は過去の成績を振り返る分析ですので、そのシミュレーションが何を表しているのかを良く理解した上で使うようにしましょう。
終わりに:シミュレーションの重要性
ただ、類似した状況が存在するのもまた確かで、テクニカル分析を信じる人が多いからこそその法則通りに株価が推移したりもします。
人類社会の発展とともに上がり続けるという言葉を、信じるに足るか否かを自分で判断する時にも役に立つかもしれません。
そうであれば、何も知らずに投資するよりも過去の成績が頭に入っている方が狼狽売りのリスクを下げることが出来るでしょう。
ぜひ自分の手で、様々な投資手法のシミュレーションを行ってみて、納得した上で投資が出来るようになりましょう。
始めてしまえば放ったらかしでもインデックス投資ならOK、という側面はあるものの、自分の資産の動きや状況を把握しておくことも大切です。
いざとなると損切りのつもりで売りたくなってしまうものです、経験を積みながら勉強も続けることをお勧めします。
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