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老後に必要な金額はいくら?〜医療費の現実を知る必要性〜

老後 医療費
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目次

はじめに

老後の医療費にいくらかかるかイメージ出来ているでしょうか?

老後2000万円問題は記憶に新しいことと思います。

このブログでも何度か触れたことのある話題ですが、正しく理解されている方は意外に少ない印象です。

本稿では、老後に必要となるお金がどのくらいなのか、医学博士である筆者ならではの医療費に焦点を当てて見て行きたいと思います。

老後2000万円問題の前提は健康であること

一般論としては以下のサイトが参考になりますので、種々の観点から検証されたい方は参考になると思います。

この記事のターゲット 

  • 老後2000万円問題に関心がある人 
  • 自分の老後がとにかく心配な人 
  • 年金暮らしに不安があり投資を検討している人

老後2000万円問題の前提は実は、、、

健康であること

この問題の発端となった「市場ワーキング・グループ報告書」の試算の前提は以下の通りです。

  1. 夫が65歳以上、妻が60歳以上の夫婦のみの無職世帯
  2. 夫が95歳、妻が90歳になるまでの30年間に渡り夫婦揃って健康
  3. 年金暮らしで毎月5万5000円の赤字
Y-bow

一見して思うことがあります、一体こんな世帯がどの程度あるものでしょうか!

健康第一です、こんな理想的な生活が送れるのなら私も是非送って見たいものです。

高血圧、糖尿病、がんにも罹患せず、胃腸も肝臓も腎臓も不調なし、素晴らしいことです。

介護もなし、怪我もしない、天寿を全うするまで健やかに生きる。

最高ですね。

しかし皆さんもお分かりの通り、そのようなケースは極めてレアです。

残念ながら歳を取れば体にはガタも来ます

病に伏せることもあるでしょう。

そんな未来から目を背けるわけには行きません。

以下では特にこの医療費について考えていきます。

医療費のイメージ

がん

がんは日本人の死因の第一位となって30年、残念ながら不動の一位となっています。

私もがん研究者の端くれとして不甲斐なく、なんとかこの状況を打開しようと日々もがいている最中にあります。

日本人の2人に1人ががんに罹患し、全国民の3人に1人ががんで亡くなるのが現状です。

以下にいくつか統計データを示しますが、詳細については以下のリンク先のがん情報サービス/がん最新統計からご確認頂くことが出来ます。

先ず男女別の罹患数を見てみましょう。

毎年どのくらいの方ががんと診断されるのでしょうか。

その推移は以下のグラフに示された通りです。

がん 患者数 男性
がん 患者数 女性

男女ともに1980年から増加傾向です。

最大の要因は高齢化にあります。

がんと診断されるのはほとんどの部位で高齢ほど頻度が上がるためです。

次に死亡者数を見てみましょう。

がん死亡者数 男性
がん死亡者数 女性

こちらも1965年から右肩上がりの傾向が続いています

罹患数と同様に、高齢者が増加していることが主な原因と考えられています。

この統計観察期間においては人口も増加の一途であり、単純に人数だけをみた場合には上昇することになります。

罹患率でいうと本項冒頭で述べた通り2人に1人ですから、裏を返せば2人に1人はがんとは無縁の人生を送るということも出来ます。

加えて治療技術は年々進歩していますので、死亡率自体は低下傾向となっています。

年齢調整死亡率といって、高齢化による年齢構成の影響を排除したデータです。

年齢調整死亡率

1990年代後半をピークに男女とも低下傾向が続いており、医学の進歩の恩恵が目に見えてきているという状況です。

早期発見の確率が向上しているということでもあり、がんに罹患する患者は増えつつも、命が助かるケースが増えているということです。

データの紹介が長くなりましたが、つまり、

  • がんに罹患する確率はおよそ50%
  • 高齢者ほどそのリスクは高い
  • 治療技術の進歩で死亡率は低下
  • その治療のためには最新の治療を含めて大きな医療費負担が発生

長生きすることで医療費がかさむことが容易に想像出来ます。

1回数千万円にもなる高額な治療技術も登場してきていますので、高額療養費制度が適用されるケースも増えてくるでしょう。

そうでなくても2000年代以降に登場した抗体医薬品などは継続的な使用で治療費はかなりかさみます。

がん治療に関しては以下に分類などをまとめていますので参考にされてみて下さい。

糖尿病

生活習慣病の筆頭です。

幸か不幸か患者数が大変多く、放置すれば命に関わる病気であるため医薬品の市場が巨大ですので製薬企業による優先的な開発対象となってきた背景があります。

したがって、長期に渡る医療を受ける必要はありますが、制限を受けながらも生活していくことが可能となった病気です。

実際に糖尿病になったらいくらかかるのか?

そんな情報をまとめたサイトがありますので参照してみて下さい。

症状の重さと必要な管理によって幅はありますが、毎月コンスタントに1万円以上の負担となることもあります。

上記のがん治療ほどではありませんが、完治することが望めないため治療を開始すると原則として一生続けることになります。

高額療養費制度

保険医療を受けた際に、患者が負担する金額を一定程度以内に抑えるための制度です。

高額な手術や医薬品の恩恵を受けるハードルを大きく下げてくれる、利用しない手は無い制度です。

一部を抜粋して下に示します。

70歳未満の方で、その収入に応じて自己負担額の上限の計算式が異なっているのが分かると思います。

3段目にある区分ウ(標準月額27万〜51.5万円)を例に見てみると、多数該当の欄に当たらない場合には80,100円+(総医療費-267,000円)x1%ですから、267,000円以下の医療であれば80,100円となります。

80,100円は決して安くない金額かもしれませんが、それでも大変に恩恵のある制度と思います。

高額療養費制度 表

ただし、これは月額であることに注意が必要です。

継続する投薬の場合には毎月限度額いっぱいまでの支払いが発生する場合もあります。

オプジーボという抗がん剤が承認された当時は、毎月300万円もの高額となることが話題となりました。

その後数年間で何度も薬価が引き下げられ、今ではその5分の1ほどになっていますが、それでもこの高額療養費で区分ウに当たる場合には80,100円を超えることになります(毎月10万円以上の医療費)

さらに、キムリアという細胞医薬品の場合には3349万円という高額ですので、区分ウに当てはめてみても80,100円+(33,490,000円-267,000円)x1%=412,330円です。

高額な医薬品が次々に登場する現代にあっては、高額療養費制度があるからといって何でも安く済むわけではないのです。

※ キムリアは本稿執筆時点(2021年10月)で薬価が引き下げられることが検討されています。

終わりに

このように、老後2,000万円問題の前提条件で大きくカットされている医療費は、高齢者にとって大きな負担となります。

もちろん、一切の治療を受けないということであれば2,000万円の不足という試算になるのかもしれません。

しかしそれは、時として大幅なQOLの低下を招くことになるでしょう。

最新の医療を享受出来ないという不利益は避けたいというのが誰しもの本音だと思います(延命治療には賛否あると思いますが)。

この医療費に加えて住まいの修繕や介護まで加わってくることを考えると、末恐ろしいものです。

そのために、どうしても投資が必要になってくることでしょう。

本ブログを通してのテーマの一つ、資産形成が苦手な日本人のマネーリテラシーを向上させることの重要性が浮き彫りになってきます。

これを機に投資を学び、始めてみようと考えられたのであれば、以下の記事を先ず参考に、勉強を始めて頂ければ幸いです。


ファイナンシャルプランナーに無料で相談できるサービスなども増えてきましたので、以下のようなものを活用するのも良いでしょう。

怪しく無いかの検証は当サイトで行なっていますので、参考にされて下さい。

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