こんな考え方の人も中にはいるみたいです。
長期積立投資について、いつから投資を開始したかによって成績が変わります、と。
そんなことは当たり前です。。。
その上、掲載されているバックテストはいずれも2022年2月時点の資産総額となっており、つまり投資期間そのものが異なるデータを比較しています。
そして、全体的にレバナスにケチを付ける内容でありながら、結局はパフォーマンス的にレバナスが圧倒的というオチまで付いています。
しかしこうしたトンチンカンな記事にも惑わされる投資初心者は一定数いるようです。
そこでこの記事では、レバナスに過去の一定期間積立投資をしていたら資産はいくらになっていたのか?のデータをまとめます。
レバレッジは危ないとか、投資開始時期によってどうこう言う前に、先ずは正しいデータを知っておきましょう。
正しいデータは正しく比較して初めて意味のあるものになります。
それを是とするか非とするかは、データを見た人がそれぞれ判断すればいいことです。
- 投資家・個人事業主・医学博士
- 投資歴15年 (学生時代から)
- レバナス/USA360/3倍ETFをメインに積立中
- 地銀→野村證券→ネット証券
- FIRE済み:好きで働いてます
15年の積み立て成績一覧
先ずは『15年間積立投資を行った場合』を見てみます。
一括投資して15年間ホールドした場合はその後で解説します。
レバナスの長期投資シミュレーションについては、同等の運用方法を採用するETFを用いるのが最も簡便かつ誰でもデータにアクセスが可能なため便利です。
以下の記事のように、ITバブルの崩壊やリーマンショックなどのシミュレーションも楽々です。
本稿のテーマは『いつから投資を始めたらどんな成績になっていたか?』を知ることです。
そこでこのUOPIXを使って、1998年〜2021年末までの全ての15年間について『毎月100ドル積み立て続けた場合』の資産額を算出してみました。
1998年〜2013年から、2006年〜2021年までの15年間ずつを切り取った成績の比較です。
こうすることで、『15年間の運用成績』を9パターン見ることが出来ます。
元本(現金)とSPY(S&P500)を比較対象として入れて、以下のような要領で得られる最終資産額を集計したものです。
例えば2006年からの15年間は以下の通り
15年間ですので、180ヶ月になります。
ちなみに1998年〜2021年末の23年間のUOPIXとSPYのチャートは以下のようになっていました。
ITバブルが来て、それが崩壊し、その回復を待たないままリーマン・ショックが訪れます。
レバナスにとっても決して順風満帆では無かったこの23年間のうち、それぞれの15年間分を抜粋して最終資産総額を一覧にしたものが以下の表です。
積立期間 | UOPIX | SPY | 元本(現金) |
---|---|---|---|
1998-2013 | $60,067 | $42,472 | $26,458 |
1999-2014 | $81,051 | $46,183 | $26,090 |
2000-2015 | $90,872 | $44,740 | $25,505 |
2001-2016 | $97,386 | $47,720 | $24,872 |
2002-2017 | $158,670 | $55,316 | $24,896 |
2003-2018 | $129,105 | $48,977 | $24,999 |
2004-2019 | $205,833 | $59,275 | $25,258 |
2005-2020 | $343,005 | $64,407 | $24,740 |
2006-2021 | $463,718 | $75,553 | $24,154 |
現金については米国金利を反映していますので、銀行に預けておいた場合の金額です。
額面は上昇していますが、購買力との関係性については以下の記事で詳しく解説しています。
1998年から2021年までの間に、15年間積み立て続けた場合の資産総額はいずれの期間とも元本を大きく上回りました。
表だと分かりにくいかもしれませんので、グラフにしてみると以下の通りです。
UOPIX(レバナス)もSPY(S&P500)も、全ての期間で元本を上回っていることが分かります。
そして全ての期間でレバナスがトップです。
15年間のホールド成績一覧
積立ではなく、一括で購入してホールドし続けた場合を見てみます。
積立期間 | UOPIX | SPY | 元本(現金) |
---|---|---|---|
1998-2013 | $25,296 | $45,335 | $26,118 |
1999-2014 | $12,082 | $39,971 | $24,890 |
2000-2015 | $4,123 | $33,618 | $23,768 |
2001-2016 | $17,112 | $41,711 | $22,491 |
2002-2017 | $93,269 | $57,523 | $21,880 |
2003-2018 | $276,386 | $70,016 | $21,935 |
2004-2019 | $246,450 | $71,680 | $22,170 |
2005-2020 | $398,753 | $76,646 | $21,977 |
2006-2021 | $628,365 | $94,134 | $21,317 |
こちらもグラフにすると以下の通りです。
ハイリスクハイリターンの一括投資のブレ幅の大きさがよく分かります。
投資開始時期によるリターンの差
投資開始時期が異なれば、当然リターンも変わります。
重要なのは“リターンが違うこと”ではなく、15年間積み立てていればレバナスも安定してプラスになった、というバックテストの結果です。
未来を補償するものではありませんが、一括では大きく元本割れするような状況においても含み益を維持可能であったということがポイントです。
しかも積立であれば、1998年以降のどの15年間を切り取ってみたとしても、レバナスがS&P500を上回る成績を残してきた事実があります。
このデータに基づいて、『レバナスは投資開始時期によって成績が大きく異なるので投資するのは危険』といえるでしょうか。
一括投資ならいざ知らず、積立であれば私は投資するだけの価値はあると思います。
NASDAQ100のレバレッジ2倍ETFとしては後発のQLD(ProShares Ultra QQQ)が、2022年5月11日現在で資産総額が30億USDを超えるほどになっていることからも、その人気が窺い知れます。
大和レバナスは1,200億円ほどですから、規模感が3倍以上も異なります。
世界にはNASDAQ100にレバレッジをかけて資産を膨らませてきた人達が山のようにいます。
だから安心、真似をすれば良いとは決して言えませんが、リスクを理解した上で自己判断で投資をすることが出来るようになることが大切です。
ちなみにNASDAQ100に3倍ものレバレッジをかけた商品もありますので、関心のある方は以下の記事を参考にされて下さい。
終わりに
投資開始時期ごとのレバナスのパフォーマンスの違いをまとめました。
1998年以降のいずれかの15年間を切り取ると、一括投資ではマイナスになる場合があるものの、定額積立であれば確実にプラスになっていた過去があります。
同じように過去を振り返っての分析でも、データが不十分な上に偏った表現をすると『成績がぶれるから危険』という主張が生まれます。
しかし蓋を開けてみれば、あのITバブル崩壊やリーマンショックの期間を含めてもなお、レバナス積立投資は元本割れはもちろんのこと、S&P500の積み立てにも負け無しという事実が浮き彫りになりました。
成績がブレるのは当たり前ですが、そのブレ幅がどのレベルなのかをしっかりと把握しておくことが重要です。
バイアスのかかった情報にはくれぐれも気をつけるようにしましょう。
特に生存バイアスについては以下の記事に詳しくまとめていますので、ぜひご一読下さい。
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