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国際宇宙ステーションは宇宙でもなければ無重力でもない|高度と速度

国際宇宙ステーションは宇宙でもなければ無重力でも無い
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宇宙ってどこから?
どこまで行けば無重力?

国際宇宙ステーションやスペースシャトルの中で、宇宙飛行士がふわふわと浮いている状態、あれは無重力空間にいるのではなく自由落下中に無重量状態になっているだけです。

宇宙は無重力、と思い込んでいる人が多いようですが、少なくとも宇宙ステーションのレベルではそうではなく、単に落下している物体の中にいるだけなのです。

この記事では、

どこまで行けば宇宙と言えるのか
・ふわふわ浮いている状態の正体は何なのか

について、物理学に詳しくない方にも分かり易く解説します。

国際宇宙ステーションは宇宙でもなければ無重力でも無い
目次

どこからが宇宙?

高度10kmを超えたら宇宙、ということに便宜的になっています。

2021年には前澤友作氏が国際宇宙ステーションに民間人として滞在したことがニュースになり、ステーションから発信された動画などが話題になりました。

宇宙飛行士と言えばスペースシャトルで打ち上げられ、地球を外から見ることの出来る夢のある職業というイメージもあるのではないでしょうか。

2020年代に入り、それが民間人でも体験できるレベルになってきています。

一般には飛行機で上昇する高度、約10,000m(=10km)程度までが体験ゾーンでしょう。私もそれ以上の高度まで登ったことはありません。

エベレストの山頂がおよそ高度8,800m(海抜)ですから、それと比べると大して変わらない高さですので、まだ宇宙とは到底呼べないことは直感的にも分かります。

では、どこまで地上から離れれば宇宙に行ったということになるのでしょうか。

地上から宇宙空間までの間は無段階に連続的に繋がっていますから、明確なラインがあるわけではありません。

そこで便宜的に、大気がほとんどなくなる高度100,000m(=100km)から先を宇宙と呼ぶことになっています

JAXAのHPに分かり易い図が載っています。以下の通り国際宇宙ステーションは高度400kmですので、この分類上は宇宙に存在していることになります。

JAXAより

あくまでも人が勝手に決めた基準ではありますが、高度100kmから先が宇宙です。

ただし、大気圏と呼ばれる層の最外層に当たる外気圏は高度500km以上まで続いていて、学術的にはまだ地球とされています。

Y-bow

国際宇宙ステーションは宇宙なのか地球なのか微妙な位置ですね。

どこまで行けば無重力?

100kmどころが1,000km離れても無重力ではありません
宇宙空間に無重力の場所は無いと言えるでしょう。

国際宇宙ステーションではみんなふわふわ浮いてるけど?

Y-bow

確かに浮いていますが、あれは自由落下中だからです。

無重力とは、その言葉の通りで重力が無い状態です。

重力とは地球による万有引力(と自転による遠心力の合力)です。

私達と地球が引き合う力のことです。

万有引力は距離の二乗に反比例しますので、離れれば離れるほど小さくなります

しかし、1,000km離れたところでゼロにはなりません

宇宙の深淵、星も光も何も無いボイドと呼ばれる空間でさえ、厳密には無重力ではあり得ません。

完全に無の空間でなければ無重力にはならないのです。

宇宙飛行士はなぜ浮いているのか

じゃあ国際宇宙ステーションの中は無重力じゃ無いの??

国際宇宙ステーションの中は無重力状態です。

Y-bow

重力が無いのと同じ状態に身を置くことが可能で、それが無重量/無重力状態と呼ばれる環境です。

重力に逆らうことなく自由落下する空間は無重力と同じ状態になる。
by アインシュタイン (1907年)

例えば、と言ってもなかなか体感できるものでは無いので難しいですが、アトラクションで落下するタイプのものは落下の瞬間に浮揚感を感じることが出来ます。

その瞬間、あなたの体は擬似的に無重力状態に置かれているのです。

自由落下は地上に向けて加速度g(9.8m/s^2)で加速しながら落ち続けている状態ですから、エラベーターのように途中で一定速度になる下降は対象外です。

実際に宇宙飛行士は地上でこの体験に慣れるため、自由落下する航空機の中で訓練を行います。

ZERO-G社のHPを開くとそのトップに動画がありますが、以下の動画でもご覧頂けます。

どこかでみたことがあるのでは無いでしょうか。

これはパラボリックフライトと呼ばれるのもので、大きく上昇した後に推力をカットして自由落下を行う飛行です。

自由落下をしている間は機内が無重力状態となり、体は浮き、水は水滴となって空中を漂います。

厳密には完全な無重力とはいきませんが、私たちの良く知っている宇宙遊泳のイメージが再現されます。

パラボリックとは放物線のことで、投げ上げたボールが落下する軌道を飛行機で描くことで、重力に逆らわない落下を再現したものです。

空気抵抗もありますので完全に地上に向けて加速度gで落下するわけでは無いのですが、動画で見て頂ける通り十分浮いています。

国際宇宙ステーションは、地球の周りを回りながら延々と落下し続けている状態です。

地上に向けて加速度gで落下しているわけではなく、加速度gの力を受けながら周回出来るちょうどの速度を保っている状態です。

ちょっと難しいかもしれませんが、物体の回転運動を支える力は向心力と呼ばれる回転中心に向けて引かれる力です。

Y-bow

その向心力は地球との間で働く引力であり、それと釣り合う速度で回転周回しているのが国際宇宙ステーションなのです。

スペースシャトルや静止衛星なども全てこの法則に則っています。

向心力については詳しく解説した記事がありますので、宇宙の謎と共に参考にされて下さい。

ステーション内のイメージとして、遠心力と重力が釣り合ってプラスマイナスゼロ、と考えると少し分かりやすいかもしれません。

国際宇宙ステーションは無重力?:まとめ

ということで、国際宇宙ステーションは無重力ではなく、無重力状態になっているだけです。

自由落下している空間の中にいるだけであって、地球からは常に引っ張られている状態です。

また、宇宙とは便宜的に高度100kmを超えた空間とされていますが、国際宇宙ステーションのある高度400kmも大気圏内であることから、学術的には地球と言えるでしょう。

感じ方は人それぞれですが、私見では宇宙へ行くということは映画インターステラーにあるような恒星間空間への旅立ちを想起させますので、2022年時点ではまだまだ人類の未到の技術と言えると思います。

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ひとたび太陽系を出て暗黒の空間に足を踏み出すことが出来れば、それこそ全く次元の違う天体たちが浮かぶ見たこともない空間が広がっていることでしょう。

地球から観測するだけではなく、人類が出ていく時代もそう遠くないのかもしれません。

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