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超高配当|QYLD, XYLDはタコ足で長期保有に不向き?

QYLD-XYLD
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高配当株で毎月収入が欲しい
QYLDやXYLDはお得?

米国株投資をする中で、高配当株への投資を行うことで毎月(では無いにしろ定期的に)配当金を受け取る生活をしてみたいという人も少なく無いようです。

高配当ETFとして人気のSPYDの配当金(5%前後)が少し減っただけでSPYDはオワコンかなどという議論も噴出したりと、配当金を収益源として生活することに対してアンテナを張っている人も増えて来ました。

QYLDとXYLDの解説

そんな中で、超高配当(10%以上)を持続しているとんでもないETFがあります。

QYLDXYLDです。

SPYDやVYMでもせいぜい数%の配当利回りですが、QYLDやXYLDはその上を行きます。

そこでこの記事では、これらの超高配当ETFが何故それだけの配当比率を維持出来ているのか、果たしてお得なのか、分かり易く解説します。

ポイントはコールオプションタコ足配当です。

目次

QYLDとXYLD

2022年5月現在、SPYDやVYMよりも高配当を持続する超高配当ETFについて、基本的な情報を整理します。

  • QYLD: Global X NASDAQ 100 Covered Call ETF
  • XYLD: Global X S&P 500 Covered Call ETF
  • SPYD: SPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF

SPYDについては以下の記事を参考にされて下さい。

QYLDとXYLDの基本情報

本質的な違いはこの後で説明しますので、SPYDとの比較表をまずは見てみましょう。

QYLDXYLDSPYD
運用会社Global XGlobal XState Street
設定日2013年12月12日2013年6月24日2015年10月22日
総資産額69.6億USD14.7億USD66.2億USD
経費率0.60%0.60%0.07%
連動インデックスNASDAQ100S&P500S&P500
5年トータルリターン8.27%8.66%10.24%
直近配当利回り12.01%11.51%4.95%
2023年1月現在

とにかく目立つのが配当比率の高さで、QYLDもXYLDもSPYDの2倍以上の利回りです。

そしてQYLDは運用資産額もSPYDより大きく、なかなかの人気を博していることが分かります。

一方で経費率がやや高く、直近5年のトータルリターンではSPYDの後塵を拝しています。

SPYDを運用するState Street社は世界3大運用会社の一角とされる一方、Global X社は聞き馴染みがない方が多いのではないでしょうか。

Global Xはニューヨークを拠点とするETFプロバイダーで、80以上の商品、400億ドル以上を運用しています(Wikipedia『Global X ETFs』より)。

またその日本法人はGlobal X Management Company, Inc.、株式会社大和証券グループ本社、および大和アセットマネジメント株式会社の合弁会社です。

Y-bow

要は、どこの馬の骨か分からない怪しい会社では無いんだということだけ頭に入れておいて下さい。

QYLDとXYLDの運用成績

QYLDとXYLDの過去の運用成績を見てみましょう。

非常に配当の多い商品ですので、配当金を再投資した場合と受け取った場合とで分けて確認します。

配当金を受け取った場合

高配当ETFを持つ意味は、定期的な配当金を受け取ることにあります。

QYLDやXYLDをポートフォリオに入れる方は、それが狙いである場合が多いでしょうから、実質的にはこちらのチャート(配当金再投資をしない場合)が運用資産額の推移としてはフィットするのでは無いでしょうか。

設定された2013年末からの推移は以下の通りです。

QYLDのチャート
クリックで拡大出来ます

S&P500やNASDAQ100の見慣れたチャートとは打って変わって、全く冴えないチャートです。

QYLD(青)は元本割れが続いています。

配当金を再投資した場合

あまり無いとは思いますが、配当金を再投資し続けた場合も見ておきます。

配当金を受け取っている場合の総資産とは少し異なりますが、参考までに。

Y-bow

ちなみにQYLDやXYLDで配当金を再投資するくらいなら、最初から配当を大きく出さないQQQやSPYなどに投資するべきですので。

QQQ、SPYと比較します。

QYLDとQQQの比較チャート
クリックで拡大出来ます

配当金が定期的に入ってくることで、副収入を得たような感覚を味わえること、それだけを求めるのであれば十分にその欲求を満たしてくれるでしょう。

ただし資産全体の推移を見れば、明らかに運用成績では遅れをとることは言うまでもありません。

純粋に資産を増やしたいなら、QYLDよりQQQ、XYLDよりSPYなのは火を見るよりも明らかです。

QYLDとXYLDの高配当のカラクリ

カバードコールの意味

カバードコールとは、コールオプションをカバーすることを意味します。

定義は以下の通りですが、ちょっと分かりにくいですよね。

定義の後で簡単な例を示します。

コールオプション:
ある商品を将来のある期日までに、その時の市場価格に関係なくあらかじめ決められた特定の価格(=権利行使価格)で買う権利のこと。 

野村証券用語解説集『コールオプション』より

カバードコール:
原資産を保有しながら、その原資産のコールオプションの売りポジションをとる戦略のこと。原資産の一定水準以上の値上がり益を放棄する代わりに、オプションのプレミアムを受け取ることができます。

大和証券金融・証券用語解説『カバードコール』より

これで理解出来た人はそれでOKです。

理解出来た方は相当にマネーリテラシーが高いと思います。

よく分からないと言う方は、以下の例を見てイメージしてみて下さい。

カバードコール戦略の例
  1. 今、1株1,000円の株があります。
  2. 売り手Aは『1ヶ月後にその株を1,000円で買う権利』=コールオプションを用意します。
  3. 売り手Aは同時に1,000円でその株を購入しておきます。
  4. 1ヶ月後にその株が値上がりすると思う人(買い手B)にこのコールオプションを販売します。
  5. コールオプションにはプレミアム(上乗せ料金)100円を乗せて販売します。

その後、

  • 1ヶ月後にその株が1,200円になれば、買い手Bは権利を行使(=1,000円で買って1,200円で売る)するでしょう。
  • 1ヶ月後にその株が900円になれば、買い手Bは権利を行使しないでしょう。

売り手Aの視点:

1ヶ月後の買い手Bの行動に関わらず、プレミアム分の100円が収入になります。

原則として、その株が値下がりした際には買い手Bは権利行使しませんから、値下がりによる損失を被ります。

その株が値上がりした際には買い手Bが権利行使しますから、その値上がり益は享受出来ません。

買い手Bの視点:

1ヶ月後の株価に関わらず、コールオプション購入時のプレミアム100円は返ってきません。

一方、その株が500円まで下落したとしても買い手Bの損失はプレミアム分の100円で済みます。

値上がりした場合には値上がり益を享受出来ます。

凄まじく簡単に、語弊を恐れずに表現すると以下のように言えるでしょう。

カバードコールは値下がりリスクを買い取るビジネスです

そして、その値下がりリスク請負料(コールオプションプレミアム)から配当を出そうというのがQYLD、XYLDの基本戦略です。

長期的に値下がりを続けるインデックスが投資対象であれば、極めて有効な戦略です。

しかし逆に長期的に値上がりする場合は、値上がり益を全て放棄してしまうので相対的に不利になります(値上がり益は全て買い手のもの)。

プレミアムは対象インデックスのボラティリティによって変動します。

2019年6月から2022年3月までのデータが開示されていますが、その期間中のプレミアムは1.40%〜4.41%で推移しています。

QYLDのプレミアム一覧表

先ほどの1株1,000円の例であれば、リスク請負料は14円〜44円ということになります。

その中から、概ね1%(0.70%〜2.25%)を配当金に回しています。

こうして見ると、オプションプレミアムの範囲内において、毎月1%程度の配当を出すことで、年間12%もの高配当を実現していることが分かります。

タコ足配当の事実

プレミアムの範囲内で分配金を出しているのであれば、タコ足配当にはならないのでは?

と思うでしょう。

タコ足配当は投資家に対して極めて不利益の大きい行為で、それゆえに金融庁が注意喚起を行う事もるようです。

タコ足配当:
原資となる十分な利益がないにもかかわらず、過分な配当金を出すことをいいます。 見た目には配当金が高いため魅力的に感じられますが、実際は資産を売却したり、積み立て金を取り崩したりして配当金に回しているだけで、業績や財務状況に難点がある可能性があります。

SMBC日興証券『タコ足配当』より

果たしてQYLDはタコ足配当を行なっているのか、いないのか?

答えは、『行なっています』。

残念ながらタコ足配当を行わざるを得ない状況になっているのです。

理由の前に、まずはその事実を確認しておきましょう。

Global X社の運用報告書に記載があります。

QYLD運用報告書の内容

この中に、『資本の払い戻し』という項目があります。

2016年から2020年の5年間で、この『資本の払い戻し』が無いのは2017年だけです。

ではなぜ、オプションプレミアムの割合を下回る分配しかしていないはずなのにタコ足配当されているのでしょうか。

ここに大きなカラクリがあります。

例えば2019年6月、オプションプレミアム1.90%に対してdistributionは0.94%とあります。

これはあくまでも『オプションプレミアム1.90%のうちの0.94%が配当に回った』というだけのことであり、原資を取り崩したかどうかの情報は含まれていないのです。

2019年全体で見ると、運用利益の合計が2.01であるのに対して、分配のトータルは2.36、その内の0.53はタコ足配当ということになっています。

基準価額が低下の一途を辿る中、オプションプレミアムから出す分配金を原則として最大1%までとし、より多くの分配金を出すために原資を取り崩している、というのが運用の全貌です。

Y-bow

株価が下がっているのに分配金額を維持しようと思えば、仕方がない対応です。

まとめ

超高配当で人気のQYLDが、実は原資を切り崩してタコ足配当を行なっていることを説明しました。

カバードコール戦略のため大きな値上がり益は全て買い手のものになる一方、値下がり時はオプションプレミアムで相殺し切れないほどの値下がりの影響を受けます。

それでもQYLDホルダーには高配当を維持するため、止む無く元本部分にも手を付けています。

そのせいで課税もされることになり、最終的に煽りを受けるのはQYLDホルダーということになります。

結局はQQQを自分で取り崩していた方がマシ、という状況に陥ります。

Y-bow

目先の配当金に目が眩み、大局を見る目を失っては本末転倒です。

しかし投資の世界に限らず、正しい知識と情報を持たない者が搾取されるのが世の常です。

分かった上でQYLDを持つことと、分からずに持つことの差はとても大きなものです。

投資の際には、特にこうした複雑な商品を手にする際には、しっかりと情報を入手・整理してからにしましょう。

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