- 投資家・個人事業主・医学博士
- 投資歴15年 (学生時代から)
- レバナス/USA360/3倍ETFをメインに積立中
- 地銀→野村證券→ネット証券
- FIRE済み:好きで働いてます
はじめに
突然ですが、皆さん本を書きますか?
読む、または読んだことがあるという方は多いでしょうが、書く、または書いたこと(出版したこと)がある方はそう多くはいないと思います。
書きなさいと言われれば、大変そうと思う方が多いのでは無いでしょうか。
つまり本とは、相当程度のエネルギーを注いで世に出るものですから、それを読むということはその労を課されずにそれだけの情報を得られるということです。
誰かが頑張ってくれたおかげで、私たちは頑張ることなく貴重な情報を得られるわけです。
この記事では、しばしば唱えられる読書量と収入の関係について、先ず相関関係と因果関係についてお伝えし、次に因果関係足り得るか否かという視点で見てみようと思います。
年収と読書量の関係
相関関係と因果関係
相関関係とは、二つの事柄AとBがあり、相互に関係し合っている状態のことです。
関係があるだけですから、AとBどちらが原因でどちらが結果かは関係ありません(または特定されません)。
因果関係とは、二つの事柄AとBがあり、AかBのどちらか一方が原因となっていて、もう一方がその結果である、という状態のことです。
因果関係があれば、その二つの事柄には相関関係もあると言えます。
つまり、関係のある二つの事柄について、相関関係のうち因果が特定されたものを因果関係と言います。
なんだかややこしいですね。
本題の読書量と年収の関係について具体的に見ていきましょう。
その方がしっくりくると思います。
日本における読書量と収入についての調査結果の例を見てみましょう。
元データから見やすくしたものが以下のグラフです。
グラフのそれぞれの色は年収帯ごとに分かれており、横軸は月間の読書数、縦軸は該当者比率です。
例えば赤いライン(年収1500万円以上)の方のうち、毎月1冊読んでいると言う方は25%程度いることが分かります。
いかがでしょう、一見して右肩下がりではありますが、、、0冊のところを見ると年収が少ないほど比率が少ないのが分かります。
一方で3-4冊のところを見ると赤系の3本のグラフ(年収700万円以上)が他より高いのも分かります。
さて、これを見て何を感じるでしょうか。
『本を多く読む人は高収入』のように見えるのではないでしょうか。
その見方は正しいかも知れませんが、間違っているかも知れません。
1. 本をたくさん読む人は高収入
2. 高収入の人は良く本を読む
どちらが正しいのでしょう。
結論として、このデータからは判断は出来ません。
これが“相関関係”です。
つまり、本を読むことと高収入であることとが、どちらが原因でどちらが結果かは分からないのです。
数学でY=Xというグラフを想像してみてください。
Xが変数として扱われますが、YをいじってもXが動きますよね。
X=2ならY=2ですが、Y=5ならX=5です。
一般に、本を良く読む人は情報収集を良く行い、自己啓発や勉強など収入向上に繋がる傾向の強い行動様式の可能性が高いと考えられることから、本を読むことで収入が上がる、という因果関係で説明されるケースが多いように思います。
一方で、収入が高いことで生活に余裕が出来たり、会食での話題作りのためや先輩・得意先に勧められて読むようになった人もいるかも知れません。
高収入な仕事は本を読まされる環境にある、と言い換えることも出来ます。
つまり収入が高い人は本を読むようになる、という因果関係もあり得る訳です。
読書量と年収との相関を表すデータは多く存在しているようですが、その一方で因果関係を示すデータはなかなか見当たりません(ご存知の方がいらっしゃれば後学のため是非ご教示下さい)。
ここで大事なのは、読書量と年収との間には明確な相関関係があるという事実です。
どちらが原因かはっきりしない場合においても、片方の要因(この例であればX=読書量)を動かすことで、もう一方の要因(Y=年収)を動かせる可能性があるということです。
因果関係は見い出せるか
さて、仮に因果関係があって、原因が本を読むことにあるのであれば、収入を上げられるわけですから是非試してみたいですよね。
しかし何を読めば良いのでしょうか、そもそも毎月読むわけですから継続しなければなりませんので、例を数冊上げたところでと思われるかも知れません。
そこで、私が提案するのは以下の5冊をこの順に読んでみることです。
5冊読み切れれば、恐らくその先に進めるでしょう。
短く読みやすい本から始まり、所謂王道のビジネス書に分類されるもの、世の中や自信を見直すようなものになっています。
今は紙の本を買う必要は無い時代ですが、読書習慣の無い方は、この5冊は紙で読んでみることをお勧めします。
全体のどの辺りを読んでいるのか瞬時に分かりますし、読みかけの本が目の前に積んである状態も初めは心理的に良い気がします。
いずれも名著ですからご存知の方もいるかも知れません。
全て読んだことがあるという方はきっと様々な本を読まれていることでしょう。
1. チーズはどこへ消えた?(スペンサー・ジョンソン著):とても短い本ですが、とても考えさせられる本です。2冊目以降を読むか読まないか、決心出来ると思います。メルセデス・ベンツ社が社員研修に取り入れたことでも有名です。
2. ファクトフルネス(アンナ・ロスリング、オーラ・ロスリング、ハンス・ロスリング著):私達は世界を偏った情報で認識しています。世界にまつわるクイズの正答率が有識者よりチンパンジーの方が高いことを教えてくれます。
3. 7つの習慣(スティーブン・R・コヴィー著):全てを実践するのは中々に困難ですが、知っているのと知らないのとでは大違いです。言わずと知れた名著です、簡略化した漫画版などもあります。
4. 人を動かす(デール・カーネギー著):対人関係の極意とも言える、考え方を改めさせてくれる本です。大変多くの引用もされており、尊敬される人物が何を考えていたのかよく分かります。
5. 嫌われる勇気(岸見一郎・古賀史健著、アルフレッド・アドラー):老年心理学者と青年との対話で進み、会話形式なので読みやすいながらも心理学の真髄を垣間見ることが出来ます。
いずれの本も著者らが考えに考え、その結果辿り着くような言葉が散りばめられており、非常に示唆に富むものです。
中でも『チーズはどこへ消えた?』は非常に短い本ですので、普段あまり活字に触れない方でも抵抗感なく手に取れるのではないかと思います。
親子2世代に渡って、正に人生を賭けたような作品もあります。
私たちはそれを一目見ただけで知ることが出来、理解認識し、後世に伝えることが出来てしまう。
確かに本は魅力的だと思います。
しかしここで今一度本稿の本題に立ち返り、考えてみましょう。
この5冊に加えてどんどん読み進めていくと果たしてお金持ちになれるのでしょうか。
私の考察結果は、『お金持ちになる可能性の高いマインドに近付く』、また『勧められて読むタイプの人はお金持ち気質』である、です。
私は心理学者でも経済学者でも無いですが、経験的に第一線で活躍する経営者や、キレ者だなと感じるビジネスマン(製薬企業や機器メーカーなど)にも共通する気質があり、それについては超一流の人ほど「読書」を絶対に欠かさない理由(東洋経済)という記事も参考になると思います。
終わりに
ちなみにアドラー心理学を学んで生き方を変えるには、それまでの人生の半分の年月を要すると言われます。20歳であれば30歳に、40歳であれば60歳になります。読書を始めるなら早いに越した事は無いと思います。是非一歩踏み出してみて下さい。時間がないと思っていても、意外とあるものです。
読書は自分への投資でもあります。一方、お金に関する投資については以下の記事などを参考にされてみて下さい。
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