生まれてから何の疑問も持たずに、絶対的な信頼を地球に対して持っている方が大半では無いでしょうか。
もしかしたらお子さんに『地球はいつまであるの?』などと聞かれて困った経験をお持ちの方もいるかもしれませんが、多くは特に考えたことも無いと思います。
しかし、地球は現に滅亡へと向かっており、人類はおろか生命が維持され得る残された時間は有限である事が分かっています。
その頃までには人類は他の星に移住するだけの技術レベルに到達していないとも限りませんので悲観する必要はありませんが、先ずは地球の置かれた状況を知っておきましょう。
この記事は、本サイトが主に取り扱う育児や投資の息抜きに用意しているサイエンス記事の一つです。
ノンフィクションで、普段は思いを巡らせることの無いジャンルに触れることで、是非疲れた神経をリフレッシュさせて下さい!
太陽系の寿命が地球の寿命
太陽系は皆さんご存知の通り、太陽とその周囲を回る惑星を代表とする公転軌道上の物体で構成されています。
太陽系においては太陽だけが恒星で、その他は金属、岩石、氷、もしくはガスなどを主な構成成分とする惑星です。
恒星とは、簡単に言えば『自ら光る星』のことです。
自ら光る理由は、常に燃料を燃やし続けているからです(核融合反応)。
凄まじく巨大な質量によって自重で押し潰されそうになりながらも、潰れないだけの内圧をしっかり持ち、広大な宇宙空間の中でただひたすらに悠久の時を過ごしている天体です。
太陽系ではその恒星である太陽の周りを、自ら光ることの無い、恒星に比べて圧倒的に落ち着いた環境の惑星が公転し続けています。
地球をはじめとしたこれら惑星は、自身が核融合など活発な活動を行っていないため、自らが爆発するなどの最期を迎える事はありません。
惑星の寿命が尽きる時とは、恒星である太陽の寿命が尽きる時、または太陽の寿命が尽きようとする時です。
燃えるものがある限り焼ける炎は拡大し、惑星はそれをただ見守る逃げ場のない小動物のようなものです。
このイラストにあるような、救助してくれる消防士のような存在はいません(もしかしたら超凄い文明が地球を見てくれているかもしれませんが。。。)。
太陽は水素が合体してヘリウムになる熱核融合反応を繰り返し、あれだけ眩しい光と熱を放ち続けています。
まさに燃え盛る核融合炉そのものです(因みに人類はまだ核融合炉を作れていません)。
そしてその巨大な熱核融合炉は次第に巨大化していき、その半径はやがて地球の公転半径にまで近付いてきます。
太陽と引き合う重力で繋ぎとめられ、地球は太陽から脱出する事は出来ません。
最も内側を周回する水星が炎に飲み込まれ、次は金星、そして地球と、どんどん太陽の表面が近付いてきます。
地上から空を見上げると、今よりも遥かに巨大な太陽がギラギラと照り付け、地球は灼熱の荒野と化すでしょう。
更に時が経つと、太陽はその寿命を全うして惑星状星雲に姿を変え、静かに太陽系はその100億年の歴史に幕を降ろすことになると考えられています。
とはいえその工程は非常に長い年月をかけて進行します。
次はどれほどの時間が掛かるのか、詳しく見ていきましょう。
太陽の寿命はあと何年?
太陽はあと何年、その活動を続けられるのでしょうか。
答えは、およそ50億年程度と考えられています。
そして現在、太陽は46億歳程度と考えられています。
ほぼ同時期に惑星も誕生していることから、地球の年齢とほぼ一緒です。
つまり、太陽はちょうどその寿命の半分まで来ている、というのが科学者らの見立てです。
人間に換算しやすくて分かり易いですね。
太陽は人生100億年、今は46億歳です。
人間は人生100年、46歳なら中年です。
太陽は人間の1億倍の感覚で生きているのかもしれません。
と言っても、太陽は健康に気を使うこともなく、食べ物もずっと水素だけ、何十億年もずっと同じ生活を続けています。
ただひたすらに銀河系の中を走り回りながら。
地球にはあと何年住める?
太陽と地球の寿命は分かりましたが、太陽がそれほど巨大化していくのであれば、当然地球に住める残された時間は50億年もありません。
私たちには、地球上でどの程度の時間が残されているのでしょうか。
短期的・人類の活動による影響
もしかしたら100年も残されていないかもしれない、という恐ろしい研究結果も出ています。
2070年には地球上のおよそ半数の居住地域は高温のため住めなくなる、という推計結果が2020年に発表されました。
これは現在しきりに訴えられている地球温暖化の延長上にある推計です。
ただしこの推計結果については、我々人類が地球環境に配慮し、温室効果ガスを削減していくことで解消可能な問題かもしれませんし、比較的低温の居住可能地域を開拓することでも、あるいは地下都市を築くことでも解決を図れるかもしれません。
つまり、何とかなる事態の想定です。
逆に太陽の活動周期によっては寒冷化さえ起こるかもしれません。
1783年から翌年にかけてパリのセーヌ川が凍りついたように、もっと遡ればマンモスがいた頃の氷河期のように、地球の環境は太陽の活動に強く影響されるのです。
長期的・太陽の活動による影響
ここで考えたいのは、太陽の膨張による大規模な環境変化の影響です。
ざっくり、あと10億年程度と推計されています。
ただ、地球上の大気圧が変化する(低下する)ことでその期間は13億年程度延長される可能性を示唆する論文も出ています。
気圧が下がるという事は、その分温室効果ガスも希薄になり、地表もそれだけ冷やされるという考えに基づいた推計です。
一気に悠長な話になりましたが、いずれにしても地球に永久に住み続けられるわけでは無い、という事です。
逆に10億年前は、と考えてみると既に生命が誕生していました。
バクテリアはもちろん、光合成も行われていましたし私たちと同様の細胞構造を持つ真核生物も誕生していました。
原生代と呼ばれる、それほど賑やかな世界ではなかったかもしれませんが、しっかりと生命が息づいていた時代です。
人類の祖先がまだカビのような存在だった頃ですが、その頃には既に遺伝子が存在しており、現代まで進化を続けながら脈々と引き継がれてきています。
23億年前は原生代の入り口で、地球が丸ごと凍りついたり酸素を作り出す生物が出現した頃です。
何れにしても我々の遠い祖先が地球上での生活を始めた頃です。
生命自体が誕生したのは35億年以上前とされていますから、地球上で生命が存在可能な時間は既に半分以上が経過していることになります。
何世代先まで住めるのか
地球に住める時間が残り10億年なら、世代交代がおよそ30年とすると大体3000万世代程度になります。
3000万というと途方もない数に聞こえますが、1年が3,153万6,000秒ですから、1秒1世代と考えると割と現実感をもって認知出来るレベルです。
きっと大丈夫です。
今はまだ大気圏内でうろちょろしているレベルですが、科学技術の発展は日進月歩、どんどん加速していますので。
自力で科学技術を発展させられるのが一番ですし、場合により他の宇宙文明の力を借りることもあるのかもしれません。
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