はじめに
医学博士が独断と偏見で推奨する、性別問わずオススメ出来る漫画をご紹介!
漫画は教育にはマイナス、と考えていませんか?
お子さんが漫画ばかり読んでいると不安になってしまう親御さんも少なくないのではないでしょうか。
大丈夫です。
活字の本ばかりが教育に役立つとは限りません。
漫画は世界的に見て日本が牽引してきた文化の一つです。
- 字を読むことのハードルを下げ
- ビジュアルを活用して世界観の創造を助け
- 或いは作者のイメージを共有し
- 知識もコミュニケーション能力も伸ばせる
教育ツールであるとさえ言えるでしょう。
東京オリンピック2020でも、選手入場の際に国名が記載されたプラカードは漫画で使われる効果線を模したものとなっていたほどです。
節度を持って親しむことで、きっと子供の世界観を広げてくれることでしょう。
自身の経験を元に、早速厳選した漫画5つをご紹介します。
これらを読めば、きっと質の良い漫画に親しんで行ってくれるはずです。
この記事のターゲット
- 漫画は子供の教育に良くないと思っている人
- 子供に読ませるべき漫画を探している人
- とにかくオススメ漫画を探している人
厳選5傑
ブラック・ジャック(手塚治虫)
言わずと知れた名作、手塚治虫による医療漫画の金字塔。
1人の外科医(無免許)が様々な人間模様の中、繰り出す天才的な手術を中心とした短編ドラマ集です。
法外な報酬と引き換えにあらゆる患者を完璧なまでに治療しきるその姿は、多くの医療者やそれを目指す若者に感動を与えてくれます。
ブラック・ジャック(本名:間 黒男)は不遇な事故を経験した過去を持ち、生死の狭間を彷徨いながらも奇跡的な回復を見せますが、母親を亡くしてしまいます。
その事故原因を生み出した人間への復讐を誓いながらも、誰よりも命に真正面から向き合い、確固たる信念を持って医師免許を持たない選択をしてでも普通の医者には治療出来ない患者(訳あり患者、誰も手を付けたがらない奇病、技術的に不可能と思われる見捨てられた患者など)に対して究極の医療を提供していきます。
リアルな描写は医師免許を持つ手塚治虫ならではですが、それ以上に命の大切さ、治りたいという患者の意思の尊重、ニヒルなキャラクターの中に見え隠れする優しさがなんとも言えない味を出しています。
間違いなく自分の子供に読ませたいベスト5に入ります。
ドラえもん(藤子・F・不二雄)
日本人なら誰でも知っていると言っても過言ではない知名度、国民的スーパースター、未来の猫型ロボットといえばドラえもん。
私を含め、登場する未来の“ひみつ道具”は誰もが欲しいと思ったことでしょう。
主人公の野比のび太(公式に彼が主人公とされています)は勉強もスポーツも全くダメな小学4年生(アニメでは5年生とされる)、そして彼を中心とした同級生数人を中心に織り成す日常生活を描いた短編集。
一方、非日常をドラマティックに描いた長編は多くの映画として人気を博し、原作者藤子・F・不二雄が亡くなった後もなお新作が生まれ続けています。
作中にはタイムマシンや自由に空を飛べるタケコプター、どこでも瞬時に移動が可能などこでもドアなど、しばしばSFの世界でも科学の世界でも話題になるような驚きの機能を有する道具が多数登場します。
子供に夢を抱かせるだけでなく、決して優秀ではない主人公の成長に共感することで、子供でも(子供ならでは)その世界観にどっぷり浸かれることでしょう。
うしおととら(藤田和日郎)
主人公はとある住職の息子、蒼月潮。
その実家の地下に封印されていた妖怪を射止めていた“獣の槍”を抜き、その妖怪を解放してしまうところから物語が動き出します。
実はこの世の中には人の目に見えない多くの妖怪達が生息しており、またそれらと闘うことを生業とする国家組織が存在しているという世界観において、人間模様と妖怪との共生をテーマに時空を超えた伏線が多数張り巡らされた秀逸な作品。
作者の藤田和日郎氏は非常に複雑なストーリー構成の作品“からくりサーカス”でも有名ですが、終盤にかけて加速していく伏線回収ストーリーには引き込まれること請け合いです。
見た目も種族も全く異なるうしお(人間)ととら(妖怪)の間に生まれる信頼関係は、人間と妖怪とに広く影響を与え、人間同士でそれが出来ないはずはないと思わせてくれる感動作です。
最後には全員で力を合わせてラスボスと闘う少年漫画の王道的構成ではあるものの、その裏にある伏線があまりにも感動的。
ジョジョの奇妙な冒険 第3部(荒木飛呂彦)
1986年から開始し、本稿執筆時点(2021年10月)で第8部が完結したところ、という大長編。
スタンドと呼ばれる精神力が具現化した幽波紋を操るキャラクター達によるバトル漫画の側面がある一方、ストーリーの根底には全編通してジョースター家(主人公の家系)と吸血鬼(因縁の相手ディオ)らとの壮大な闘いの歴史が存在します。
中でも第3部を選んだ理由は、ここからスタンドが登場するため登場人物の個性が際立つことと、スタンドの能力が比較的単純(素早く動ける、炎を操る、念写など)であることです。
1人が圧倒的に強いということではなく、闘うもの同士に能力の相性があり、誰かが勝てなくても別の誰かが勝てる。
スタンドは本人の精神力が形になったもの、誰しも得意不得意があることが如実に描写され、適材適所の大切さが闘いの中に描かれます。
第3部の空条承太郎は作品を通して人気が高く、その抜け目なさは真似出来るものでは無いものの、必ずやり遂げる意思の強さは子供の心に響くでしょう。
はたらく細胞(清水茜)
人体を構成する細胞を擬人化して描く、体内を舞台にした異色の作品。
血液系の細胞をメインに、病原体やがん細胞と免疫細胞との闘いを描く。
私自身(がんと免疫の研究者)の目からしても中々に専門的な内容を分かりやすく描かれており、純粋に勉強になる漫画です。
2018年に本庶佑氏がノーベル生理学医学賞を受賞した対象である抗PD-1抗体に関するエピソード(オプジーボ版)も本編とは別に描かれるなど、白血球を中心とした充実した血液細胞の役割と働きを学べる内容になっています。
各種細胞が誕生して成熟する工程も丁寧に描かれており、得てして大学でも敬遠されがちな免疫学に関心を寄せるきっかけになるかもしれません。
終わりに
本稿で紹介した5作品はいずれもアニメ化されており、映像作品としても楽しむことが出来ます。
原作を忠実に再現されているので、合わせて楽しんで頂きたいと思います。
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